文豪、社長になる:門井慶喜 | 図書館司書の読書日記

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こちらは主に備忘録的読書日記と映画の感想を記しています。
著作権法上、ネタばれしないように書いているので味気ないとは思いますが、こんな本があるのだと興味を持っていただけたら幸いです。

 主人公は菊池寛ですが、文学史に名を連ねる作家がたくさん出てきます。

 各地の天才たちが集う一高、東京帝国大学。

 芥川龍之介が、作家になる前に海軍機関学校で教鞭をとっていたとは知りませんでした。

 なんか最初から専業作家だと思っていたので。

 菊池寛が創った2つの文学賞。

 芥川龍之介と直木三十五との関わり。

 文藝春秋社の創設から、法人化までの道のり。

 あらゆることが興味を惹きます。

 菊池寛の胆力が随所で見受けられ、強いリーダーシップというか人たらしの力を見せつけられます。

 作家がお金持ちで羽振の良いところも夢があります。

 作家には、天才ゆえの奇行もありますが、大成するまでは何度も中退を繰り返す問題児であった菊池寛が、ストレートで進学した天才たちよりも良識的なところも、人間万事塞翁が馬を感じました。