ビタートラップ:月村了衛 | 図書館司書の読書日記

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こちらは主に備忘録的読書日記と映画の感想を記しています。
著作権法上、ネタばれしないように書いているので味気ないとは思いますが、こんな本があるのだと興味を持っていただけたら幸いです。


 「ハニートラップ」は騙された側にしたら「ビター」な味わいになるのでしょうね。

 装丁のカップのコーヒーはとても苦そうです。

 冒頭のいきなりの愁嘆場。

 ゆとり世代のノンキャリ官僚に、恋人が泣きながら自分の正体を明かすところから始まります。

 恋人は中国人留学生。

 プロのスパイではなくて、国家に依頼されたら拒否することはできないと刷り込まれている普通の人。

 そんな素人を使ってまで彼の国は何をしたいのか…。

 なんとか出し抜こうとする主人公の元に今度は公安を名乗る人物が現れます。

 マッチポンプ的な諜報活動。

 最後はおとぎ話的ハッピーエンドですが、それぞれの正義で活動する国家機関の人たちの悲哀も感じられる作品です。

 昭和の妖怪的政治家みたいな人がいなくなったなぁ…とも感じました。