七夕 天の川物語 15 | 長澤まさみ 七夕 天の川物語 

七夕 天の川物語 15



「わ わわ!おいしーよーこれー」光はここの屋敷のムードメーカー 「あ!本当ー」織姫

が一口食べた お寿司だった 「夕方、多が持って来たざます」多とは食事処を経営する 

女店主だった 「え 来たの」「はい 姫様に宜しくと言っておりましたざます」「そうなの 

だったら別宅に寄っててくれれば良かったのに」「きっと急いで帰ったんですよ はい味噌汁」

典が味噌汁を織姫に渡した 「はい そうかもね」「わ! この味噌汁 最高潮においしー」

「何時もの味噌汁ざます」


食卓は女四人がいつものように賑やかに盛り上がる 天様と山様の二人は静かに乾杯

一緒に酒を頂く 


山様は、ここで食事する時が多かった それは囲碁をする時である 夕食後、昨日の続き

の囲碁をするのだ 天様もまた山様の屋敷で食事をする事もある 合同面会がある時が多

かった 囲碁は二人の談合の場でもある


「父上様、合同面会 誰だったんですか」織姫が天様におかわりの酒を出した 「ん 今度

家を建てる家主が来た その家族 親戚じゃ」「わ もしかしてー 村さんですかー」村とは

鳶職人の棟梁の事で名は村の氏と言った 「そうじゃ 村さんがやる」「そうなの うーん 

村さんも来たの」「いや 既に現場の方に入ってると言っていた」「はい光」「わ 酒」

「山様に」典が光に酒を渡した 「おお ありがとう」「さすが村さん 早いね」

「まー 段取りが出来てる人だ」「現場はどこざますか」「飯田だ」「わ 飯田 舟着場の所」

「そうじゃ 川を挟んでちょっと行った所じゃ」「先月もあの辺の方こられましたよねー」

「瓜さんじゃのー」先月も同じ部落で建てた人がいた「ん 瓜さんじゃ 家主は織姫に宜しく

と言っておった」「うん」織姫が可愛い笑顔になった


「わ 来たよー」 光が激しく叫ぶと皆が注目した「はい 媛様」典が出した 

「はい あ!白玉団子!」「お待たせざます」「美味しそうだよねー」「うん」「冷えてるの

いいのー」井戸で冷やすと凍るように冷たい 「はい 父上様もどうぞ」「お 団子」