タイトルだけは見たことがあったような気がするけど

こんな楽しい映画だったのか! 

かわいい女の子のお安い宝石箱みたいな映画だな

ほんとのお高い宝石箱じゃ薄暗いところに隠されてそうで気が引けちゃうけど

これは太陽の下でバーッと中身をまき散らしても笑っていられる、そういう宝石箱(^^)

 

「ラ・ラ・ランド」の監督が一番影響を受けたという映画なんだって。

「ラ・ラ・ランド」見てないー。見たくなった。

 

いろいろ感想があるけど、

まずはカトリーヌ・ドヌーブを尊敬したね。

「シェルブールの雨傘」では歌は吹き替えだったということだけど、これは歌ってるみたいだし、踊りもいっぱいある。

もっと人形みたいな女優かと思ってたら、こんなこともやるんだなあ。

今さらカトリーヌ・ドヌーブを好きになった(^^;

 

カトリーヌ・ドヌーブが双子の片割れデルフィーヌ役で、

もう片一方の双子・ソランジュを演じるのが実姉のフランソワーズ・ドルレアック。

ほんとうの姉妹でかわいい双子役を演じて、実際ほんとの姉妹らしいラフさ楽しさを出していてとてもよいのだが、

お姉さんのドルレアックのほうは、この映画のすぐあと、交通事故で亡くなってしまったそうです。悲劇。

ふたりのファッションがなんともいえずかわいい。

ふたりとも古典的な顔立ちなので、前髪ぱっつんの髪型がコントに見えないこともないのだが、

それでも、いやそれだからこそ、もう戻らない輝きに満ちていてまぶしい!

 

内容は、道具立ては違うけれども「シェルブールの雨傘」のアンサー的になっているというか、

人間関係が似ている。

かわいいデルフィーヌ(25才設定)には45才くらい?の画商をやっているお金持ちの恋人ギヨームがいて、映画の時点ではデルフィーヌはもうギヨームがきらいで結婚を断っている。デルフィーヌにお金を出してくれるというのだが、そういうのもデルフィーヌはいやなのだ。

これを見て「やっぱりシェルブールの雨傘でも、ジュヌビエーブはほんとはカサールに愛が全くないけど結婚したんだ」と確信できた。

(カサールもジュヌビエーブの妊娠を受け容れて結婚したり、悪い男ではないのでなんだかそれがわかりにくい)

 

また、ロシュフォールの町でお祭りがあるので現代風流れ者芸人のジョージ・チャキリスと相棒とその一団が町にやってきて、チャキリスたちも恋愛騒動に一役買うのだが、

「シェルブールの雨傘」を見ていて、「実にシンプルな若い男女の恋愛を中心にした現代風のミュージカル‥ということではウエストサイド物語と同じだな」と思っていたのですが、やっぱり「ウエストサイド物語」が念頭にあってシェルブールの雨傘を作ったんだな!と思った。

フランス人もウエストサイド物語は気に入ったんだなきっと。ああいうのをフランスが舞台でフランスらしく作ってやる!って思って作ったんだろう、とまで想像した(^^)

 

女の子が双子ふたりいて男の子にジョージ・チャキリスとその相棒がいるのでここにカップル関係ができるのかなーと思っていると話はなかなか錯綜していく。

チャキリスたちは最初からそれぞれ女の子を連れているのだが、女の子たちは水兵を好きになってあっけらかんと去る。

その子たちの踊りが人気なので困った、代わりに出し物に出て、とチャキリスたちに頼まれて双子はお祭りで歌って踊る。

深くスリットの入った赤いドレスで陽光の下、太ももも露わに踊る双子が作られてなくてそのへんのお姉ちゃんみたいなノリで踊るのもよい。

ふたりともスレンダーで胸も小さいのだが、そういうのも自然でいい。

お色気となったらみんな同じような大きい丸い胸をしてるっていうのは画一化されててつまらなくないですか?

昔には、「ブロンドと胸が大きいのは(男には魅力的だが)バカ」というシンボル化?があって、むしろ胸が小さいのがおしゃれだった気がする。当時大流行のカルダンのミニドレスなんて胸が大きかったら着こなせないし。この映画でもデルフィーヌが「金髪はバカだと思う?」と言うシーンがあった。(彼女は金髪。ほんとはブルネットなのを染めているらしい。お姉さんのドルレアックがほんとは金髪だがこの映画では赤毛の役なようだ。ややこしい)

 

恋愛はすれちがいとめぐりあいが続くが、

とにかく「ウエストサイド物語」のチャキリスと「シェルブールの雨傘」のドヌーブが手を取り合って踊るのが夢かと思うくらいにミラクル。

作られて50年経ってから初めて知った自分もバカですが‥

作ってくれてほんとうによかった☆

最後は、ドルレアックの方は運命の恋人と会えるが、ドヌーブの方はすれ違いばかりで出会えない。

出会えないままパリに行っちゃうのかな? ドヌーブだけかわいそうだな、と思っていると‥

 

 

そういえば話はおおいに飛びますが、

ジョージ・チャキリスは1984年のNHKのドラマ「日本の面影」でラフカディオ・ハーンを好演して日本では特別に人気があって、

日本でもファンクラブが出来てたまに来日してチャキリスさんを囲む会みたいのをしてたと思う。

チャキリスの方も日本を大事にしてくれて、日本とチャキリスでWINーWINのよい関係(^^)

若い頃は下まつげの長い(当時の)チャライケメン風で、どちらかというと一発屋風でそんなに長持ちする俳優というようでもなかったのだが、

おじいさんになって来日しても実にスタイルもビジュアルも保っていて、知性も感じさせてくれて偉いもんだなと思います。

名作「ウエストサイド物語」も、主役のナタリーウッドとかより、チャキリスの魅力が勝ってるもんね。一番有名なのも、チャキリスを先頭にした3人の不良が足を高く上げてるポーズだし。