このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、
社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。
<総務部長>
当社では毎年1月に36協定の締結を行っています。そろそろその準備を始めようと考えています。近年、改めて過半数代表者の選出手続きの重要性が高まっていると聞いていますので、その適正な方法について教えてください。
<社労士>
過半数代表者の選出について、かつては事実上、会社が指名したり、社員の互助会の代表者が自動的に過半数代表者になるなど、問題のある取り扱いがよく見られました。近年は労働基準監督署の監督指導などでもこの適正な選出手続きが強く求められるようになっています。特に問題になりやすい過半数労働組合がない事業場での過半数代表者の選出手続きのポイントは、以下の3点です。
① 労働者の過半数を代表していること
② 選出する目的を明らかにした上で、すべての労働者が参加した民主的な手続きがとられていること
③ 労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でないこと
<総務部長>
①の労働者は、正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイトも含まれましたね。管理監督者も含まれるのでしょうか?
<社労士>
はい、管理監督者は、③のとおり、過半数代表者になることはできませんが、過半数代表者を選出する母数となる労働者の数には含まれます。
②については、36協定の締結を行うためなど、選出する目的を明らかにして選出することが求められます。また、すべての労働者が選出手続きに参加できるようにする必要があります。
<総務部長>
これまでは、朝礼で挙手をしてもらって選出していました。他にはどのような選出方法があるのでしょうか?
<社労士>
挙手の他にも、例えば、投票、従業員による話し合い、持ち回り決議などがあります。労働者の過半数が、その人の選出を支持していることが明確になるような方法をとる必要があります。
<総務部長>
実際に他社では、どのような方法でされているのでしょうか?
<社労士>
最近では、候補者を募る段階から投票まで、インターネット上で行う事例も増えています。特に従業員が一同に集まる機会がないような会社では有効な方法ですね。
<ONE POINT>
① 労働者の過半数代表者の選出する母数となる労働者には、正社員だけでなく、パート・アルバイトや管理監督者も含まれる。
② 選出に当たっては、選出目的を明らかにし、すべての労働者が選出に参加できるようにする必要がある。