前回のラレーに引き続き、アルミフレームが続く。それも純粋なロードバイクのフレームである。このフレームは色々と訳ありで、2回に分けて紹介する。



FAUSTO COPPI ALUMINUM K14


年式: 1990年後半


サイズ: 

トップチューブ C-C530mm

シートチューブ C-C515mm C-T545mm


重量(ヘッドパーツ込み): 2.2kg


シートポスト径: φ27.2


ヘッド、BB規格: 共にイタリアン


使用パイプ: Columbus ALTEC





ファウストコッピはツール・ド・フランスで2度の優勝、ジロ・デ・イタリアでは5度の優勝を誇ったイタリアの伝説的な自転車競技選手であるファウスト・コッピの名を冠したブランドである。


イタリアではロードレースで活躍した有名選手が自身の名を冠してブランドを興すのはかなりありふれたことである。


逆に古くからのブランドで、選手の名を冠していないブランドを見つける方が難しいほどではないだろうか。





この自転車を手に入れた理由は、1990年代のホリゾンタルで大径チューブのアルミフレームに乗りたかったからという軽い気持ちだった。


クロモリフレームの乗り味はぼんやりとではあるが、分かっている。「クロモリはアルミと比べて柔らかい乗り味」と一般的に言われているが、その比較対象として一度アルミフレームに乗ってみたかったのだ。


アルミフレームといってもクロモリほどではないが、歴史は長い。


ホリゾンタルではないフレームが増える2000年以降のフレームは個人的に興味はなく(乗りたいと思えず)、かといってラグで繋がれたノーマルサイズのパイプを使ったアルミフレームはいわゆるアルミフレームとは違う乗り味になりそうだ。


ということで、このフレームを手に入れた。実はコッピの前にも別のアルミフレームを手に入れていたのだが、諸事情で手放した。その話はまた別の機会に。


このコッピはヤフオクでかなりの破格で手に入れたのだが、遠目には塗装の艶もあり状態が良さそうに見える。しかし、半分予想通り、半分予想以上の不具合があり、案の定走らすのに苦労した。





最初の訳ありポイント。フォークは純正のクロモリフォークから、なぜか大阪の浅香輪業LATIDOブランドのアルミフォークに交換されていた。


それもコラムにはアルミフレームなのに赤錆が大量に発生している。フォークブレードもアルミの白っぽい錆が発生していて汚い。



二つ目の訳ありポイント。これが最も重症なのだが、届いたときにはダブルレバー台座にアウター受けが付いたままで、これを外そうとしたところなぜかアウター受けが回転する。そのまま回し続けると、なぜか反対側も回りだし、取れた。





この時代にはどうやらよくある症状のよう。ダブルレバー台座の接着が甘く取れてしまったために、アウター受けに接着剤を付けて被せて固定してしまったようだ。実は作りが甘いのが、イタリア製フレームといったところだ。


そもそもパイプがとんでもなく薄いアルミなのでクロモリのように溶接することができないのだろう。





三つ目の訳ありポイント。


シートチューブのシートクランプの径がなんとも中途半端な径で、市販のφ30.0では入らないし、φ31.8では固定できない。おそらく独自規格だろう。


仕方がないので、ホームセンターに売っていた適当な金属のステーを切断し、被せてφ31.8のシートクランプが使えるようにした。





次にフォークに取り掛かる。





赤錆はクレ556を噴いて、♯120の研磨布で擦れば簡単に落ちた。根の深い錆は落ちず、表面の凹凸が気になるが、使用に問題ない程度であろう。





白錆が出ていたフォークブレードを完全に綺麗にすることは不可能だが、多少磨くことで綺麗になる。


ここで番手の小さい研磨剤で擦ると、表面のアルマイトを削ってしまい、取り返しがつかなくなるので、アルミ用の研磨剤を使う。






白い筋はところどころ見えるが、全体的には綺麗になった。ただしばらく使うとまたくすんでくるので、これを維持するのは難しい。




TANGESEIKI LEVIN ALLOY


フォークがこんななので当然ヘッドパーツが生きているわけもなく、新しくヘッドパーツを揃えた。


安心のタンゲ製のヘッドパーツ。新品で比較的安く手に入る割には品質が良く、デザインも幅広い。イタリア製フレームにはやはりこのデザインだろう。


キヨミヤザワのピストにはNJSのスチール製レビンを使っているが、アルミフレームに合わせて今回はアルミ製のレビンにした。





アルミ特有の光りすぎない落ち着いた輝きが、アルミフレームにマッチしている。


タンゲは自転車趣味に欠かせないパートナーの一つである。



問題のダブルレバー台座だが、素人に直せる問題でもない。とりあえずは元に戻しておいたが、取り外す時に力をかけたせいで、元々接着剤でかろうじてフレームに固定されていたアウター受けも力をかけると動くようになってしまった。


元はパナソニックに付けていたシマノ600をそのまま移植しようとしていたのだが、ダブルレバーが使えなくなってしまった。


しかし8速用のSTIは手持ちになく、また変に年代の新しいコンポーネントをミックスさせる気もない。



考えた選択肢は4つ


・ディズナのフォークコラムにクランプするタイプの台座を使う。


・ハンドルにクランプする台座を使い、いわゆるサムシフターのように使う。


・ステムのポスト部分にクランプする台座を使う。


・サンツアーのコマンドシフターを使う。



上三つは新品購入となり、どれも東京サンエスのブランドの一つ、ディズナから出ている。意外と値が張るのと、後付け感が少し気に食わない。


見た目で言えばサンツアーのコマンドシフターがいいのだが、市場価格は高騰している上、8速の互換性はデュラエースしかないようでまた金がかかりそうだ。



とりあえず今回はこのくらいにしてまだ続くが、教訓が二つほど。

中古で価格が以上に安いものはどこかに訳があると疑うべき、そして互換品が手に入りにくいスモールパーツが欠品していないか確認すべし。

今更である。
(実はそのマイナスを差し引いても許せるくらい破格なのでそこまで後悔はない。)