ヘッドパーツをばらす。回転は悪くないので、そこまで状態は悪くないだろうと思われる。



前にも紹介したように、ヘッドの規格が1-1/4インチかつスレッドというマイナー規格だ。ゲイリーフィッシャー以外に存在するのだろうか。六角ナットのサイズが40mmだったが、幸運にも手持ちのレンチで対応できた。



不安なほどナットにトルクがかかっておらず、すぐに抜けた。錆もなく、グリスが多少変色しているだけで綺麗な状態だ。定期的にメンテされてたのかもしれない。





ばらばらにして、クレ556で洗浄した。リテーナーに張り付いていた柔らかいプラスチックのシールは痛むと良くないので取り除いた。


リテーナーには傷もなく、やはり状態はいい。



ヘッドパーツのメーカーについて見てみる。


一番上のロックナットに見えずらいが、「Y.S.T EVOLUTION PATENT」とある。


どこのヘッドパーツなのか気になったので調べてみると、YST Corporationは現在も台湾に本社を構え、ヘッドパーツやBBを作っている会社だった。この当時は、BMXやMTBのパーツを中心に作っていたようで、NOSがそこそこ海外サイトに出品されていた。


サドルと同様に、所々に台湾製を用いて、徹底的にコストカットが図られている。



薄くグリスを塗って防水用のシールを挟んで、元に戻した。この辺りは通常のヘッドパーツと何ら変わりない。



フォークも見てみる。


フォークの刻印は

SAMSON True Temper CR-MO MONTARE

とある。


SAMSONは製造した工場だろうか。サムソンといえば原田製作所のサムソンが有名だが、年代がおかしい。同じ名前の台湾の製造所だろうか。



フォークのパイプがTrue Temperというのは驚きだ。True Temperはアメリカの鋼管メーカーだが、2017年に自転車のパイプ製造から撤退したメーカーだ。


クロモリ管のOX Platinumは有名で、確か撤退する直前までKHSのロードバイクに採用されていた気がする。


少し調べてみたところ、True Temper社は自転車パイプからは撤退したが、会社自体は存続しており、ゴルフやラクロスのシャフトを作っているようだった。特にゴルフ用の鋼管は、元々主力の製品のようだ。



フォークの製造はフレームよりも難しいと聞いたことがある。


フレームはタンゲのパイプだが、フォークだけTrue Temperのパイプが使われている。


ということは、フレームは台湾製で、ある程度技術の必要なフォークはアメリカで作っていたということも考えられる。


どちらにしてもTrue Temperのフォークはなんとも風情がある。



スチールロードレーサーのフォークのようにパイプをクラウンで繋いだ、細くて美しいフォークは好きだ。


しかし、MTBのリジッドフォークのように丸みがあり、いかにもパイプをそのまま溶接した感じがするのも、なんとなく可愛さがあって良い。