ゲイリーフィッシャーがやってきた。



OLD MTBが欲しいとつらつらと書いていたが、全て手に入った後で、探していた時のことを思い出しながら書いていた。



国産MTBが本命だと言いながら、結局ど直球のアメリカンブランドである。狐でも山猫でもなく、魚である。



たまたま、ヤフオクに出品されていたために予算内まで入札していたら落札できてしまった。



デザインが好みだったのと、調べているうちにMTBの本場のブランドも魅力的に見えてしまったのだ。なんと言っても、ゲイリー・フィッシャー(人物を指すときは・を打つ)と言えば、MTBという言葉の発明者である。その人の息のかかっている自転車に乗れるのは自転車マニアとしては非常に光栄である。



スペック紹介を

ネットでカタログを漁るもなかなか見つからずようやく見つけたのが、色違いではあるが同じ年代で同じグレード。



GARY FISHER

年式: 1991

グレード: HOO KOO E KOO(フクイク)


MTB発祥の地、サンフランシスコの地名からゲイリーフィッシャーのグレードは名前を取られることもあるが、これもそのようだ。同じくグレードになっているタマルパイス山の麓のトレールにフクイクトレールというのがあった。



グレードとしては、競技用入門用グレードといったところだろうか。アルミ製フレームが次々に出てきている中で、おそらくフルクロモリだと思われ、コンポはアメリカモデルのサンツアーX-1と、EUモデル?(カタログのモデル)のシマノEXAGE 500LXがある。




どちらも完成車用の低級グレードであると思われる。自分のはシマノの方で、おそらく日本のゲイリーフィッシャーもEUモデルと同じだったのだろうか。輸出用と国内用ということかもしれない。





ちなみにゲイリーフィッシャーは年代によってロゴのデザインがかなり違うので、年代推定がしやすい。個人的には、贔屓目無しでこの1991年のロゴが地味すぎず、派手すぎず一番好みだ。



サイズ: 430mm(シートC-T)

MTBは許容サイズが広くて助かる。




「MADE IN TAIWAN 

DESIGNED IN THE USA BY GARY FISHER」


ここが経営者としてのゲイリー・フィッシャーのすごいところだと思うのだが、自転車製造の低コスト化を実現するために、生産拠点をいち早く日本、そして台湾へと移したのである。その上、会社としての価値が高まった1991年には、自身のブランドを台湾のAnlen Bicycle companyへ売り、莫大な利益を得たと言われている。(その後Anlenはたった2年でゲイリーフィッシャーをトレックに買収されてしまうのだが)



この当時のMTBブームもあり、ゲイリーフィッシャーを皮切りに、多くのブランドが台湾での自転車製造をはじめた。GIANT、MERIDAを筆頭に、現在の台湾ブランドの礎はこの自転車のOEM生産が作ったといっても過言ではない。



現在では台湾製というとありふれて、どこか安っぽいイメージがするが、このロゴは何ともTAIWANの文字が誇らしげに見える。ゲイリー・フィッシャーの経営手腕が垣間見えるフレームである。





このフレームはもっと価値があっても良さそうなのだが、意外と安く手に入った。その理由が頻出する独自規格ではないかと思われる。


過渡期のフレームにありがちなあれである。このフレームも例外ではなく、強度を増すために全体的にスーパーオーバーサイズというゲイリーフィッシャー独自の規格で作られている。



まずフロントフォークのコラム径がφ31.8(1-1/4)である。この関係でステムの挿入部の径がφ28.6となっている。



シートポスト径もφ28.6。つまり、こんな遊び方ができる。





まだある。



BBシェル幅は驚異の88mm幅である。当然、スピンドルは専用品でシールドベアリングの圧入方式でBBが取り付けられている。



写真には写っていないが、ホイールもちゃんとついており、こちらはOLD100-135なので互換性はある。



この辺りの独自規格は半分知っていて半分知らなかったのだが、完成車で状態も良さそうなので、結局は落札した。



ゲイリーフィッシャーを買うときはBB、ステム付きであることが絶対条件であることを覚えておきたい。



小話を挟みすぎて紹介しきれなかったので、次回に続く。