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  返却して、「推し、燃ゆ」宇佐見りん著、「十の輪をくぐる」辻堂ゆめ著、以上。

 DVD[春眠り世田谷]あらすじ(ネットで書いてあった紹介文を借りて、紹介します)

 映画:「春眠り世田谷」~DVDで - David the smart ass - FC2

 映画を撮るために会社を辞める30男……。うらやましい。自立した彼女と同棲していて、理想の恋人とやさしい母親とを併せ持った都合のいい女といっしょに暮らしているように思われます。ま、男にとってはぬるま湯なんですね。だから、「春眠り」ということになるのです。女にとってもそれはぬるま湯だったんでしょう。自分を頼りにしてくれる男と、子どもっぽさで母性を満たしてくれる男。しかし、幼児のようには手がかからない。だって、放置しておいても餓死しないし、責任を負わなくてすむわけだから。うらやましい。
 うらやましいと思いますが、しかし、男も女も虚しさを感じないではいられなくなってしまうのですね。特に女性は……などと書くと、差別しているように思われるでしょうか。しかし、男女を比較したときに、生殖の機能というか、子孫を残すための機能の終焉がより明確に、そして相対的に早めに来る女性にとっては、現実への目覚めというか、ぬるま湯に対する不満というか疑問、もしくは焦りみたいなものが出てくるのかもしれません。
 モラトリアムですね。映画のタイトルは「春眠り」とありますが、モラトリアムです。
 幸か不幸かというか不幸ではないと思いますが、昔に比べて平均寿命が伸びました。人生50年と言われていたころは、50歳過ぎたら老人だったでしょう。今はそうでもない。50歳でも、若々しいというかむしろ幼い人もいるかもしれません。成人も、なにやら18歳を成人にしようという考え方もあるようですが、確かに肉体的にはそうかもしれませんが、精神年齢の発達はどんどん遅れているという感じがしますね。
 そして、幸か不幸かというか、これも不幸とは言えないような気もしますが、趣味に生きることが評価され、若々しいことが魅力で、また、どんどん若者や子どもの「文化」も大人向けに「進化」してきていますよね(ま、テレビゲームとか、アニメとか、ま、そうしたことを言うわけですけど。あるいは、動画とか音楽だってそうかと思いますけど、ま、こういうことを十把ひとからげに書くと偏見と言われそうですけれど、とりあえず、ざっくりと)。
それは晩婚化や少子化と無関係とは言えないと思います。
 人生が長くなったぶん、「若者」というか「未熟者」である時期が長くなったというか、モラトリアム期が長くなったと言えるわけです。もちろん、それは人によって違って、早く大人になって、成熟者としての期間を長くするという選択も可能なんですけれど、そうなってもまた、まだ老人にならなくていいというか、若者としてやり直せるかもしれない、若い頃にやり残したことを今からやり直せるのではないかと考えるかもしれないと思うのですね。仕事を辞めてまでそれをしてしまっていいのか、それが現実的に可能な人と、どう考えても愚かな選択に映るときもあるわけですね。
 人生の時間が長くなり、選択の幅が広がったこと、それは全体的には幸福なことなんでしょうけれど、個人のレベルにしたら、必ずしもいい具合に振れるとは限らないと思いますね。
それが、「春眠り世田谷」なんでしょうか。
 世田谷というのは、住んだことはもちろんないし、どんなイメージの街かわからないのですが、たぶんそこには都会性といか、都市の要素も無関係ではないということなんでしょう。
そういう長いモラトリアムの中にありながら、「なんか思春期の悩みみたいでかっこ悪いよね」と言いながら、いい年をしたおっさんが、生きる実感というか、達成感というか、何に生きがいを見出していいのか、熱中していいかを模索してあがくという作品です。
 自由であるだけ、生き生きと生きている実感が得られにくい。もっとほかにあるんじゃないか。もっと何かできるんじゃないかと、達成感や満足感が得られないまま、自分探しを続けていく……。それは、宗教的な疑問にぶちあたったり、生物的本能にたどりついたりします。
それが本当の回答なのかわからぬまま……。
どうしたら、いいのでしょうね。
 ダメ男の話? 確かにそうですけど、たくさんいそうです。ここまで行動しなくても、こういう気持ちの男や女って。
 主演は、「ハゲタカ」でカッコイイ、大森南朋です。ぼんやりした役をうまく演じてまい

す。

きょうの徒歩数は5873歩でした。