リコード法の食事・ケトフレックス12/3では糖質を減らして脂質を増やします。それが仮にオリーブオイルであってもコレステロールが高めの人は気になるかもしれません。

 

 

食事の脂質を増やすと総コレステロールまたはLDLコレステロールが増える人がいます。 ApoE4キャリアの人は食物中の脂肪を吸収しやすいことが報告されており、このような現象が少なからず起きてしまう可能性があります。コレステロールが上がると心臓病の危険が増すのではと不安になるかもしれません。しかし、ケトフレックス12/3をきちんと行うことによって、BMIが改善され、血圧が下がり、HDLコレステロールが増加し、中性脂肪は減少し、空腹時インスリンを含む糖代謝マーカーならびにHbA1cが減少するため、全体としては心臓病のリスクを減らす方向に向かいます。

 

心臓病の実際のリスクを判断する上で総コレステロールを構成する比率を特定することは有用です。総コレステロールは、「LDLコレステロール+HDLコレステロール+中性脂肪×0.2」で計算できます。 中性脂肪とHDLコレステロールの比は、心臓病の良い予測因子です。 HDL-Cに対する中性脂肪/HDLコレステロールが 2未満になると理想的です。

 

HbA1cも冠状動脈疾患との直接的な相関関係があります。HbA1cは、糖化ヘモグロビンの略語で、過去3ヵ月間の空腹時血糖の指標です。HbA1cが低くなるほど心臓病のリスクが低くなります。

 

LDL粒子数(LDL-P)、小型高密度LDL(sdLDL)、または酸化型LDL(oxLDL)などはリスクをさらに追求するのに有用なバイオマーカーです。これらはすべてHbA1cとも密接に関連しています。目標は、LDL-Pが1,200未満、またはsdLDLが28mg/dL未満(LDL-Cの28%未満)、またはoxLDLが60U/L未満であることです。一般的に、コレステロールが200 mg/dLを超えた場合、コレステロールを下げるためにスタチンという薬が処方されますが、スタチン系の薬剤は認知機能低下を起こす可能性があります。そのため、家族性高コレステロール血症の場合のようにスタチンが必要な場合は、専門医と協力して対処することが重要です。 

 

考えられるアプローチの1つとしては、脳内のコレステロール合成を保護しながら、LDL-Pの目標を達成するために、エゼチミブ(補足:高脂血症治療薬。小腸でのコレステロール及び植物ステロールの吸収を選択的に阻害する。その結果肝臓内でコレステロールが減少し、コレステロール量を保つために二次的な作用としてLDL受容体が増加し、LDLコレステロールが取り込まれることにより、血中のLDLコレステロール値が低下すると考えられている)と組み合わせ、スタチンをできるだけ少ない量で使用することです。スタチンによる認知機能低下がみられた場合、デスモステロールと呼ばれるバイオマーカーで追跡できます。デスモステロールの低下は脳内コレステロールの枯渇を示し、認知機能低下と相関します(補足:デスモステロールと認知機能の変化が関連。AD 患者においてデスモステロール/コレステロール比が有意に低下している)。

 

さらに、他の危険因子や心臓病の家族歴がある場合は、冠動脈の石灰化を調べるためにCTスキャンを検討することをお勧めします。石灰化は若い人にはめったに起こらないので、この検査は40歳以上の男性と50歳以上の女性が行うと良いでしょう。もし心臓病が見つかった場合は、低炭水化物アプローチを支持する循環器や脂質の専門医を探して相談してください。

 

飽和脂肪酸の取り方には気をつけてください。心臓病における飽和脂肪酸の影響には議論がありますが、飽和脂肪酸を食べる状況が大変重要です。特に、「飽和脂肪酸+単純炭水化物+食物繊維の欠如」の組み合わせは非常に有害です。たとえば「チーズバーガー+フライドポテト+ソフトドリンク」がその典型例です。「少量の牧草牛+色あざやかな栄養価の高い有機野菜」とでは飽和脂肪酸による影響が大きく異なります。

 

食事を改善したにも関わらず、飽和脂肪酸はある種の人々、特にApoE4を持つ人ではコレステロールが上がってしまうことがあります。このような場合は飽和脂肪酸を制限し、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸を増やすようにします。バージンオリーブオイル(EVOO)・ナッツ・種子・オリーブ・アボカド・脂肪の多い魚ははすべて心臓病のリスクを減らすことが示されています。

 

アルツハイマー病の発症におけるコレステロールの役割はまだ解明されていません。 中年期の高コレステロール血症がアルツハイマー病の人生の後半につながる可能性があるという報告がありますが、年齢が上がるにつれてよりコレステロールが高い方が神経保護的に作用するという報告もあります。 他の研究では中年期の高コレステロール血症とアミロイドβ形成との間に相関関係があることがわかっていますが、その関連性は弱いです。 健康的な脂質代謝を維持しながら炎症や血糖マーカーを減らすこと、 喫煙・運動・睡眠の最適化、ストレスの軽減、そして健康的なBMIと血圧の維持によって心臓病のリスクを減らすことができます。

 

参考文献

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/190814062 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/281228403 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/93558884 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/153815145 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/214225306 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/214225307 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/222037758 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC39184619 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC281402310 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC299538711 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2951476812 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2951476813 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3999290

 

 

 

 

お知らせ

アメブロドクター部門ランキングでトップクラスの超人気薬剤師・吉澤恵理さんと、ビジネスパーソン向けに「脳疲労」「認知症予防」対策をお伝えするトークイベントを行います。募集人数が限られていますので申し込みはお早めに!

 

お申込みはこちらから

↓↓↓

 

Life Wellness Mastary〜富と健康〜

開催日2019年7月9日

開場:18:45〜
開始:19:00〜
終了:21:00(予定)

 

 

 

 

 

認知症予防に関するお問い合わせや仕事のご依頼はこちら


一般社団法人 日本ブレインケア・認知症予防研究所 
https://brain-care-dementia.jp


リコード法に基づく検査・治療のお問い合わせ
ブレインケアクリニック
http://brain-care.jp

 

事業監修

まごころ健康教室

https://lp.mikawaya21.com/health/20180523

 

脳にいいアプリ

https://www.braincure.jp

 

脳レク

https://nourec.com

 

株式会社イノベイジ

https://innovage.co.jp

 

ニューワンズ株式会社

https://newones.co.jp

 

 

 

 

著作・監修

 

最新栄養医学でわかった!  ボケない人の最強の食事術 (青春新書インテリジェンス) 最新栄養医学でわかった! ボケない人の最強の食事術 (青春新書インテリジェンス)

 

 

やせ鍋 (主婦の友生活シリーズ) やせ鍋 (主婦の友生活シリーズ)

 

 

卵やせ 卵やせ

 

 

 

糖質オフで太らない真夜中つまみ 糖質オフで太らない真夜中つまみ

 

 

 

心と身体の疲れに効く最高の食事術 (楽LIFEヘルスシリーズ) 心と身体の疲れに効く最高の食事術 (楽LIFEヘルスシリーズ)