南三陸311メモリアルのラーニングシアターでのプログラムに参加し、実際震災や津波災害に遭遇した時、自身や家族、近隣の縁者の生命を守るためのベストの選択を極限時においては自身の中でやっていかねばならないということを改めて学ぶことができたように思います。

テレビや動画配信などで震災の体験談を聞くことはあるけれども、2011年から13年も経過しており、被災された方もいずれ高齢化していく。三陸地域の津波被害は概ね50年に一度は起きているとされており、明治、昭和で3度被害に遭った経験が石碑や文献あるいは言い伝えによって後世へのメッセージとして託されてきたわけですが、それらの媒体は視覚に訴えるリアルなものでないためどこまで現地の住民の方に浸透していたのか、それは防災教育力、地域力にかかっていたとしか言わざるを得ません。

地域によっては大地震発生のリスクが高まっていると示唆されたことから、防災基本計画に基づき、訓練の実施、見直しを徹底したところは人的被害を最大限に減じることができたのですが、そうでなかったところではこれから未来に向けて、2度と同様の被害を生まない建設的な取り組みが試されることになります。

スマホなどで住民の方が数多く残した動画、映像を通じて津波災害の恐ろしさを全国に知らしめることができたことは、まさに映像の時代ならではの新たな減災対策、防災教育を構築するステップにしていくことが教訓としての活用と言えると思われます。そういう意味で南三陸の施設は今後長期にわたって繰り返し利用される工夫も必要になりますが、継続してこのような学習要素を組み入れた伝承活動の拠点として機能することを祈りたいものです。　

お昼前には南三陸を発ち、気仙沼市内へクルマを進めて、あの時出会った方との再会への期待が高まります。

当時避難所運営にあたられていた市役所職員の方（以下Aさんと記す）気仙沼市の本吉にある飲食店で待ち合わせ、少し天気が崩れて雨が降り出したタイミングでAさんのお顔を確認し、再会を喜び合いました。

その飲食店でそのまま会食、Aさんがお勧めしてくれた地元産の雲丹を盛り付けた丼ぶりが目の前に運ばれると思わず声を上げてしまうほどの迫力があり、一気に気持ちが解れて会話も弾みました。

（気仙沼産のウニ丼、ちょうど漁も盛期という事で味も格別でした）

Aさんもあれから13年経過して還暦を迎えられたとのことでしたが、当時と変わらぬ容貌で一気に空白の時間が縮まるように感じられました。

震災時の話というより、お互いの近況を簡単に報告しあい、気仙沼でのいろんな話題を提供してもらいました。

地元の関心事はやはり若い人を中心に人口流出となかなか就職者が定着しない問題のようで、市役所も全国の自治体と同様定着率が低くなっているという傾向にあるようです。

なぜ愛する郷土の職場に雇用されて続かないのか、転職が当然の選択肢にあるここ数年の傾向下とは言え、何か深層にある若い人の心にしっかり寄り添って対策を組まないといけない時代なのかもしれません。

すっかり満腹となり、夕食もご一緒にという計画であったので、ここで一旦Aさんとは別れ、そこからさほど離れていない地域に暮らしている避難所で知り合った住民のBさん夫妻に会うためご自宅へ移動。

こちらも会うのは7年ぶりのことでコロナ期間はどうしても移動できずここまで期間が空くとは思わなかったものの、元気な姿を見ることが遂に叶いました。

旦那さんも古希を迎えるとのこと、リタイヤ生活に入り、孫の成長や畑の手入れを楽しみに幸せそうに暮らしてらっしゃる様子を確認できて私自身の気持ちも満たされるようでした。

小一時間話をして、家を離れる際、奥様が一生懸命クルマの姿が見えなくなるまで手を振ってくれて、13年前避難所のお手伝いをわずか1週間でしたが終えて、離れる時に同じく手を振ってくれた姿とオーバーラップし、感極まって涙が溢れてしまいました。

年齢も重ねて、当時避難所におられた方も数名亡くなったというお話もあったなかでBさんたちともまだまだ元気でお話できる日を願い、クルマを気仙沼の市街地へ進めました。

（本吉にある記念碑、周囲の景観も一変していました）

気仙沼への旅（2日目 絆）

気仙沼への旅（2日目　絆）