気仙沼への旅、初日はほぼノープランに近い状態で思いつくまま石巻で食事&観光で時間を消化し、そこから初日の宿を確保した南三陸町まで約1時間弱の行程を移動。

道中、旧JR気仙沼線の鉄道路線をバス専用輸送に切り替えたBRT路線が並行するようになり、路盤、鉄橋、　築堤などはそのまま鉄道用のものを使用しつつ、ただレールがなくアスファルト路面になってバスがそこを走行するというスタイルになっています。おそらく路線の施設はJRもしく自治体が管理しているのでしょうけど、まだこういった事例は稀であり、近年九州北部豪雨で運行不能になった福岡〜大分の日田彦山線BRTが後続になったくらいの、独特の仕様になっています。

私自身、子どもの頃は鉄ちゃんでお小遣い貯めて1人小鉄旅したり、鉄道模型で遊んだりしたいたもので、その名残でやはり今もこういった光景に触手がどうしても動くのですが、先を急ぐ関係でただ遠くから見やるしかありませんでした。

国道45号線バイパスを南三陸中心地に向けて走っていくと内陸の農村集落が一変して、なんとも言えない特異な景観が見えて来るようになります。

あらためて言うまでもなく、東日本大震災の津波被害を受けたエリアに入っていくことになり、景観は最後に訪れた7年前と大きく変貌をしているわけではありませんが、訪問のタイミングも関係していたかもしれませんが、当時より正直寂しくなったなという印象を受けました。

既に海岸線を囲い込む要塞のような防潮堤も完成していました。一方志津川地区の低平地にあった市街地の役場、公共施設、住宅は嵩上げ若しくは高台を切り開いた造成地に移転しており、津波による浸水被害を受けた地域には、復興商店街と震災伝承施設として永久保存されている南三陸町旧防災庁舎を中心に整備された公園と一昨年に開場した伝承館を残して、ほぼそのまま荒廃地のように野ざらしになっている状態のように見受けられました。

7〜8年前にこのエリアを訪問した際は、社会インフラ、防災施設の建設ラッシュで事業者の車が多数行き交い、工事事務所や作業員の仮説宿舎のプレハブが乱立模様で設置されており、表現は妥当ではないかも知れませんが、建設バブルの様相を呈していた感さえあり、国道も時間帯によっては渋滞を生じるほどという記憶があったのですが、その時の喧騒感は全くと言っていいほど消え去っていました。

（南三陸町の復興祈念公園にそのまま保存された旧防災庁舎）

南三陸に入ったのがすでに17時と夕方になっていたため、商店街の飲食店を除き、土産店などは店じまいの時間、日曜日とあってか観光バス、車両も皆無に近く、BGMも流れていないためか海風の音だけが漂う清閑な空気に包まれていました。時折デートを楽しむ高校生が通り過ぎるくらいでこれが今の日常なのか、むしろ移設した市街地に人の気配があるのかもしれませんが13年の年月で何か震災の出来事が遠のく端緒についているのかもとさえ感じ、しばらく立ち尽くすような時間が過ぎていきました。

そこから徒歩でも行ける距離で大きなショッピングセンターがあり、やはり震災後造成されたらしき区画に大きな駐車場を要し、今後津波が来ても大人数が避難できるくらいの規模にはなっていました。高さが十分かは確認し得ませんでしたが。そこで夕食用の惣菜を購入し、初日の宿となる歌津地区の民宿へ。

すっかり暗くなっていて周囲の景観は見渡せないものの、その宿は7年前の訪問時にも宿泊していたので、その時と変わらぬ佇まいに何か懐かしささえ覚えました。

（写真は民宿で出された朝食）

気仙沼への旅（1日目〜2日目 南三陸へ）

気仙沼への旅（1日目〜2日目　南三陸へ）