うちの親父は声を記録するのが好きでした。


子供の泣き声や喋り始め時の言葉を、マイクを使ってテープレコーダーでよく録音をしていたんです。


私も自分の生まれたばかりの泣き声のテープを聴いた事があり、何とも恥ずかしいような複雑な思いをした記憶があります。


親父が実際に声を録音をしていた時の記憶はほとんど無いのですが、一つだけいまだに鮮明に覚えているエピソードがあるんです。


それは昔々の天皇誕生日。
多分30年以上前の4月29日の事。


据え置き型の黒いテープレコーダーの周りに子ども達を集めて、親父がマイクに向かって大真面目な顔で喋り始めました。


「え~、今日は4月29日。天皇ちゃん誕生日です…」


天皇ちゃん!?


マイクを前にして緊張でもしたのでしょうかね(笑)


いつもは威張っている親父が、実はへたれだったと思った瞬間でした。