まだ私が実家から会社に通っていた頃の話なので、多分今から17~8年前の事です。
仕事が終わって帰宅途中だったので、時間は午後の8時過ぎぐらいだったと思います。
品川駅のホームに到着した電車に乗り込もうとした時、横に並んでいた中年の男性が、「ドンッ!」って私を肩で押しのけるように乗って行きました。
ムカッとした私は、乗り込んだ電車内でその男性のすぐ横に立って、近くで威嚇するように彼をギロっと睨んだんです。
しかしながらその男は、私を押しのけた事など全く気にしていない様子で、真っ直ぐ前を向き、ドア越しの景色を見ているようでした。
何だよ…。全く気が付いてないよこの人…。
と一人で心の中で呟いて、これ以上何かするのは面倒なので、自分も戦闘モードを解いて顔を正面に戻しました。
その直後に気が付きました。
ん?目の前に立っている女性のお尻に不自然に手が置かれている。
その手の主は、ん?横に立っている、つい今しがた私をドンッ!て押しのけた男。
あれ?これ何??と、頭の中で思考を巡らせていると、そのお尻に置かれた手がムニムニと活発に動き出しました。
間違いありません。これは完全に痴漢をしているのです。
右の手のひらがお尻の真ん中に置かれ、中指が一本だけ、グイグイと動きながらその奥を目指しているようでした。
車内にはかなりの人が乗っていましたが、ラッシュ時ではないので、それぞれが自分のスペースを確保出来るぐらいな感じ。
こんな人口密度で痴漢行為とは、かなり大胆な犯行です。
この男にムカついていた私は、そのムニムニとナメクジのように動いている手が伸びている根元である彼の肩をガチっと掴んで
「てめぇ、何やってんだ!」
考える間もなく、車内に響き渡るような大声で叫んでいました。
ビクッとして私の顔を見る、その痴漢男。
同じくビクッとした後に私の方を振り向いてすまなそうに会釈をする被害者の女性。
そこを取り囲んでいた人達のほとんどが、私の方を見ていました。
「こういう事するヤツは許せねぇんだよ!次の駅で降りろよ。絶対に逃がさねえからな!」
次の駅に着くまで、ガッチリと痴漢の肩を捕まえていました。
ラッキーにも次の駅は私が降りる駅。
捕まえた肩を引っ張るように、痴漢を電車から降ろしました。
被害に遭った女性も一緒に電車から降りて、そのまま改札へ向かいます。
改札にいる駅係員に「この人痴漢です。」
駅員に痴漢を引き渡そうとすると、「痴漢ね。すみませんが、改札を出た左に交番があるから、そっちに連れてってくれますか?」
そうなの?ちょっと面倒だけど、自分の降りる駅だからまあいいか。交番の位置も知ってるし。
そう思って交番へ向かおうと改札を出ると、被害者の女性が交番とは反対方向へスタスタを歩いて行ってしまいました。
あれ?って思いましたが、とにかく自分は痴漢を交番に引き渡すのが先決だと、肩を掴んだまま改札を出てすぐ左にある交番へ行きました。
ちょっと長くなりそうなので、明日に続く…。