仮面ライダー☆華○鬼☆ | おとうさんのおもちゃばこ

仮面ライダー☆華○鬼☆

平成12年にはJR円町駅が完成し、交通要地として賑わいを増した円町。
向かいには大型家電量販店があり、丸太町を東にいけば程なく西大路通りと交錯する。
さらに北に上がったラーメン屋に花紀 京(はなききょう)はいた。
身長190センチ近い巨躯を折り曲げるようにして当店自慢のスープが絡んだ麺を吸い上げている。
丼を両手で持ち上げスープを一滴残らず飲み干すと大きな瞳に安堵と満足げな色が浮かんだ。
最後にお冷で浸る余韻を洗い流し、伝票に手を伸ばした。
しかしあるべき場所にない。
いつの間にか人型に折り曲げられ、カウンターの上をトコトコとこちらに向かって歩いている。
伝票の殴り書きされた金額の¥マークが調度頭部になっており、歩き方と相まってかなり滑稽だ。
だが店内の誰もが麺茹でやラーメンすするのに夢中で全く気づかない。
花木の手元まで辿り着くと人型はガサッと飛び上がった後、ただの紙に戻り、ヒラヒラと舞い降りてきた。
「桔梗のばあさんめ…」
式紙を使ってこんな悪戯をするのは、あのばあさんくらいなものだ。そして…このばあさんの式紙を見るとロクなことがない。
軽く舌打ちをした後、支払いを済ませ、花木はまだ少し肌寒さが残る夜の京都へ滑りこむように消えていった。