入退院を繰り返す主人と参加した、
幼稚園の運動会…初めての親子競技。

そして、
年4回のライブ。
その最後の回の日は
主人の再入院の日でもあった…

                    上矢印
前回の詳しい話はこちらです


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1人ライブの当日
幕の下りている本場直前のステージ

幕一枚挟んだ向こうで
賑やかな客席のざわめきと
MCの人の始まりを告げるセリフ…

その直前に聞いた
 「入院決定」の連絡…





  あぁ…
なんとなく、
なんとなく分かっていたけど…



   また

 
             病院へ…





そんな身体の状態で、

「お前のライブ本番までは…」



  なんて、
  頑固に病院行きを拒んで…ショボーン





もう幕が上がるという時なのに、


私の頭の中に浮かんでいたのは
ライブの流れやセリフではなく、


 
   
   1人で病院へ行き、
   1人で診察を受け、
   1人で結果を聞き、
   1人で「入院の報告」をしてきた…


   
   
  大きな病院に
 ひとりでいる
 主人の姿



そんな状態でステージに立ち、

立ってる間は
その空間に集中していた気でいたけど

終わってしまうと
その記憶がとんでしまうような状態…



ライブ後のお客様との会話や、
店の方々への挨拶を済ませ


娘と主人のいる病院へ病院



数時間ぶりに顔を合わせた主人は
さっきまでとは全く違う状態で、
病院のベッドにいた…

酸素マスクや管がついて…




「お前のライブまで
                    頑張れなかった…」




私の顔を見て
スグに言ったのは
そんなセリフだった…




こんな状態になっても
そんな事を考えてくれてる…






        今、
        一つ一つ思い出して
        文字にしていて
        改めて感じる…

        
        主人が
       どれだけ
       私や娘のことを
       考えてくれていたのか…



        
       


『先生が、
  「奥様と話があるので、
               来たら伝えてください」
    って、言ってたよ…
    オレ〇〇(娘)見てるから、
                  なにか聞いてきて…』





主人からそう聞いて、

荷物を置き
娘にパパと一緒にいるよう話し、



先生がいる場所へと向かった…





3年前から、
治療経過や状態を知っている医師は
淡々と話してくれた…



「お腹や胸にも水が溜まっていて…」



腹水だけでなく、
胸にも水が溜まっていて
呼吸がしづらい状態だった…


その水をある程度抜いて、
今 酸素マスクをしている状態…



これからの対応、
主人の状態を見ながらの治療法…

薬物療法をするにしても
今の体力で対応しきれるか…




思ってる以上に
キツい状態であるということを
静かに説明してくれた上で


先生から言われたこと…







いつなにが起こっても
おかしくない状態です。





容態が急変することも…







ある程度の覚悟は
 しておいてください。





先生の話を
淡々と聞きながら、
「はい」「はい」と答えながら、




平静を装った顔で
対応しながら、




自分が
その言葉を言われているのが
現実という実感がなかった…







病室に戻って、
いつも通りの顔をしている気で
主人に声をかけた。




 「おまたせ~」
 「ありがとね…」





「先生なんだって❓」

  





さっき聞いたばかりの
先生のセリフが頭をグルグルしている




     いつ何が起こっても
     おかしくない状態…



     ある程度の覚悟は
     しておいてください…







「ん…なんかね、
  腹水も溜まってたし、
  体力も落ちてるから…」





 自分が
どんな表情で会話してるのか…


 相手の気持ちを
 スグに察する主人に
 バレずに会話出来てるのか…



 そんな事を
頭で考えながら、




「体調と相談しながら
       治療していくって。

   今は体力が落ちてるから、
        投薬は様子見なんだって。」






いつも主人と会話するように、
何でもないように、
何も聞いてないように、

普通に
普通に


会話をしようとしていた…






今思うと、

この時点で
主人に気づかれてたのかもしれない…







でも
あの時は






「そこまで 大したことない」



と思ってる主人に、

先生との会話を伝えられなかった






 今の世の中、
「伝えるか」「伝えないか」が
話題にのぼるし、



私自身その話を聞いて
「伝えて欲しい」
      と思ったりするけど…







あの時は、




あの時の主人には


とても伝えられなかった…





勘のいい主人の事だから、



自分の状態なんて




私が隠してても

分かってたのかも知れない…






独学で色んな事調べる人だから、


言わなくても


自分の状態は


誰よりも分かってたのかも知れない…






でも
主人は





その度に、


私が
オブラートに包んだ話を伝える度に、




   「そうか…」

   「じゃ、頑張んなきゃな」







いつも いつも前向きだった



私の話をそのまま信じて、
そのまま受け止めてくれてた…






いつも


先を向いて、


毎日 毎日

          精一杯すごしていた





本当に精一杯…



        めいいっぱい  

                              生きていた








私の頭の中には、

その日から




  いつ何が起こっても
  おかしくない状態



 ある程度の覚悟は
 しておいてください




という

先生の言葉が、




常に浮かんできて




繰り返し、繰り返し、


いつも再生され続けていた…