こんにちはニコ

 

 

症例報告です。

 

 

先日、20時ごろ一日の診療終えて片付けをしていた時に

 

院の電話が鳴り出たところ、いつも診療に来ていただいている患者Cさんからでした。

 

『風呂場で転んだので診てもらえませんか?』

 

かなり辛そうな声で、痛めた状況を電話越しに聞き、

 

『わかりました。すぐ来てください!』と答えて電話を切り、待機していると

 

約20分後にご両親に付き添われて来院されました。

 

以下経過を書きます。

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(症例、画像の投稿に関しましては患者さんの同意をいただいております)

 

患者:30代女性

 

CC)
左肩関節

PI)

入浴中に浴槽からタオル掛にかけてあった棒を左手で掴んで

立ち上がろうとした時に足を滑らせて転倒してタオルがかけてあった棒を左手で強く握り

体勢を保とうとした時、左肩に激痛が走り負傷。

 

PS)疼痛+++  大結節部De++   叩打痛+  三角筋膨隆有り 神経症状- 

皮下出血班- swelling-  肩峰角状突出- エコー不正像+ -

 

処置)

前腕中間位肘関節90° 肘から上腕U字ギプスで上腕骨を大結節部まで両面覆い

包帯3裂3巻使い、麦穂帯とデゾー法にて体幹部と固定。

 

 

経過)

初検事、左腕を健側で支えながら来院され受傷状況の聴取から脱臼を疑いましたが、

視診触診したところ上腕骨頭は正常な位置にあり、脱臼の可能性は低そうでした。

次に患部の痛み方についてですが

上腕の肢位を動かすことを極端に嫌がられ、仰臥位は不可で、座っている状態で膝で患側の肘を支えると

何とか過ごせるが、少しでも動かすと肩関節に激痛が走るようでした。

特に大結節部周辺に圧痛(限局性ではない)が確認されたので大結節部の剥離骨折の可能性も考え

骨折に準じた固定が必要と判断し、上記処置を採用しました。(処置の状況は撮れませんでした汗

 

エコーですがstep sign、血腫による低エコー像等明らかな不正像まではうまく描出できず、

この時点で自分の中では大胸筋の筋挫傷かあるとするなら大結節の剥離骨折か?という見立てでした。

 

受傷後からあまり間がなく、腫脹や皮下出血などの症状がまだ出ていなかった可能性も考えられます。

 

いずれにしても夜間で救急車を呼ぶ選択肢もありましたが、固定後は少し落ち着いた様子だったので

一旦は帰宅いただき、翌日もう一度見せてくださいとお伝えし帰宅いただきました。

 

 

翌日旦那さんの付き添いで来院いただき固定を外し患部を確認すると肩関節から左胸上部にかけて

 腫脹が出ていました(皮下出血-)。痛みは左胸部から左肩にかけて痛みがあり、筋断裂を想起させる陥凹はなし。

 

上肢動揺時の激痛は変わらず。 

 

ここで改めて医科への対診が必要と判断し

 

Icing後もう一度固定を巻きなおし(固定時は痛み楽そうでした)

 

紹介状を作成し、その日のうちに整形外科に行ってもらうことに。

 

 

 

結果は・・・

 

 

上腕骨頸部Ⅲpart骨折

 

特に大結節部(画像右上)が大きく転位しており、

 

ドクターからは手術による内固定が奨められると返信いただきました。

 

 

上図文献より抜粋させていただきました。

 

 

上腕骨の近位端骨折で有名なNeer分類では上腕骨近位端を骨頭、大結節、小結節、骨幹部の4つに分け

 

骨片の1cm以上の離開か、45°以上の軸転位ある場合を『転位あり』として扱い、

 

骨片の数より2~4partに分類します。

 

特に骨頭付近の骨折は血流が阻害されやすいため手術療法を選択されることが多いです。

 

本症例は大結節と外科頚2箇所の骨折と転位が認められたため上図3part骨折の分類となったようです。

 

 

 

受傷状況を今一度振り返りますと、小さいお子さんとお風呂に入られていて、壁にかけているタオルを掴んで

 

足を滑らされた時にとっさにお子さんの体をかばいタオルから手を離すことができず、全体重が瞬間的に

 

左腕から肩に負荷がかかったとき上腕骨へ強い外旋力と筋付着部に牽引力が働き骨折に至ったのではないかと推察されますが

 

しかしながら、今回のように直達外力ではなく、介達外力によって上腕骨の頸部骨折が起こるのかと、

 

少し驚きました。しかも手を衝いたのではなくタオルにぶら下がるような恰好で。

 

もしあるとするならば脱臼が先ではないかと考えました。

 

先入観だけで安易に判断してはいけない、鑑別が重要な症例だったかと思います。

 

 

 

その日のうちにCさんからご連絡いただき、

 

『先生が処置してくれたおかげでなんとか過ごすことができました。』と

 

お礼のお言葉をいただき、

 

ドクターと相談の結果やはり手術になりそうだとの事でした。

 

(大結節部の剥離がなければ保存療法でいけたかもしれません。)

 

 

 

まさか入浴中に骨折するとはCさんも夢にも思っていなかったことでしょう。

 

ご本人ご家族にとっては不運なお怪我となってしまい、

 

今回のようにやむを得ず手術療法が選択となることもありますが、

 

迅速な整復固定により手術を回避することができたり、

 

手術になったとしても固定により患者さんの痛み、精神的苦痛を少しでも和らげることができればと

 

柔整師として誇りを持ち日々施術に当たらせていただいております。

 

(投稿に同意いただき画像提供くださったCさん誠にありがとうございました。改めて感謝申し上げます。)

 

 

我々柔道整復師は骨折・脱臼の応急処置が行えます!!

 

外傷処置は当院におまかせくださいひらめき電球💪

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