おはようございます!

 

今シーズンから開設したゲレンデ接骨院事業ですが、

 

2021年3/7日でシーズン業務は一旦終了となりました。

 

昨年末年始と年明けは土日祝日のみで計24日診療させていただいて

 

処置させていただいた外傷内訳は骨折16件(疑いを含む) 脱臼9件 捻挫打撲7件でした。

 

特にシーズン後半一月中旬から二月にかけて骨折等の外傷が増えてきた印象です。

 

天候に左右される要素が多い事からと考えられますが、

 

年末年始は大雪でゲレンデはふかふかのパウダースノーでした。

 

スキーヤーボーダーの方々にとっては最高のコンディションでしたね。

 

ゲレンデ状態が柔らかいと例え転倒したてもケガが起こりにくく、

 

逆にアイスバーン状態や雪が雨などで湿って硬くなるとちょっとした転倒で

 

外傷が増えるといった具合です。

 

ここからはシーズンで遭遇した印象深い症例を紹介したいと思います。

 

(※患者様には撮影・投稿に関して許可をいただいております。)
腓骨下端骨折(確定診断あり)

患者58歳 男性

CC)
左足関節

PI)
スノーボード滑走中に転倒し左足首を捻った際に負傷

PS)
swelling- 歩行痛+も荷重歩行は可能 内果圧痛- 舟状骨圧痛- 第5中足骨頭圧痛- 
腓骨下端部限局性圧痛++  エコー不正像+


外観です。×印が圧痛を最も強く訴えられた部分。△が圧痛あるがそれほどでもない部分です。


エコー像です。骨んぽ連続性が断たれているような不正像を認めました。

 

患者さんからいただいたレントゲン画像です

拡大画像です。

わずかではありますが、段差になっているように見える部分があります。

 


処置)
下腿近位部~MP関節ギプスシーネ固定

 

考察)
まず足関節周辺の外傷時に骨折の有無の判断をするための
一つの指標として有効なオタワルールです。
これはカナダの都市オタワで医療費削減の目的のために

施行されたと言われています。

その指標とは・・・

 

①腓骨遠位端(外果)より6cmまでの後方に圧痛がある

②脛骨遠位端(内果)より6cmまでの後方に圧痛がある

③第5中足骨基部に圧痛がある

④舟状骨に圧痛がある

⑤歩行の可否(受傷直後に4歩以上歩くことが出来たか)

 

これを改良されたものがバッファロールールと言われるもので

 

上記の①②が

腓骨遠位端(外果)から6cmまでの中心線までに圧痛がある

②脛骨遠位端(内果)から6cmまでの中心線までに圧痛がある

 

に変更されています。(③~⑤は同じ)

以上で一つでも当てはまる項目がある場合はレントゲン撮影を行うというものです。

 

ただしこのルールは感度が約98%、特異度が約40%であり、

感度はかなり高いため、上の項目どれもあてはまらない場合、骨折を除外する判断としては適していますが、

特異度は低めなので項目が当てはまるからと言って確定診断にはやや向いていないという特徴があります。

 

本症例の患者さんは①があてはまりましたがこれだけで骨折との判断はやはり早計で、

 

腓骨下端に圧痛は認めましたが、どのような圧痛なのかが重要です。

 

本症例では画像上にも示したように限局した鋭い圧痛があったと同時に、

 

わずかな握雪音を触知しました。ちょうど雪を踏んだ時に生じるギシギシする音に

 

似ています。これは骨折特有の症状で鑑別する上でとても重要な指標となります。

 

以上のことから、自力歩行はできていましたが、骨折が疑われたため、念のためにエコーで確認をして

 

骨折を想定した処置を行いました。

 

後日患者さんからいただいたご連絡では、診察されたドクターから

 

『この固定はプロの技術だ』とお褒めいただき、保存療法でいけそうだということで、

 

患者さんからは喜びの声をいただきました。

 

 

自分の活動が一人でも多くの方に喜ばれ柔整師の世間への認知に

 

つながったようでとても嬉しく思えた症例でした。

 

またその他報告いたします!!