水牛号(チャリ)で巡る竹富島 ― エメラルドグリーンの海と島時間に癒されて
「お食事処 かにふ」で朝昼兼用の食事を終え、愛車・水牛号(レンタルママチャリ)にまたがります。
人気店だけあって、店の外にはすでに待っている方々の姿がちらほら。
「長居は禁物だな」
ということで、次の目的地である「西桟橋」へ向かいます。
西桟橋までは観光センターから西へ一直線。自転車で約10分ほどです。
竹富島には山はありませんが、意外にも緩やかな起伏があります。行きは心地よい下り坂。
しかし、下るということは帰りは上るということ。
普段あまり自転車に乗らない私は、この時点で数時間後の筋肉痛を少し心配していました。
「電動アシストにしておけばよかったかな……」
そんなことを思いながらペダルをこぎます。
やがて見えてきたのが西桟橋です。
観光ガイドなどでは有名なスポットですが、初めて見た感想を正直に言うと、
「小さな堤防?」
でした。
西桟橋(小浜島とその奥は西表島)
もちろん、それは見た目の話。
実はこの桟橋には歴史があります。
1972年以前、竹富島の人々は農地の少なさを補うため、西表島に水田を持っていました。その行き来に利用されていたのがこの西桟橋だそうです。
現在は国の登録有形文化財にも指定されています。
桟橋の先に目を向けると、かつて訪れた懐かしい小浜島。
さらにその奥には雄大な西表島。
透明度の高い海の中には小魚がたくさん泳いでいます。
そして驚くのはその遠浅ぶり。
桟橋の先端近くまで、膝ほどの深さしかありません。
海の色も美しく、
「これなら小浜島まで歩いて行けるんじゃないか?」
と本気で思ってしまうほどです。
この景色を眺めながら、ふと思い出したのが熊本県宇土市の長部田海床路でした。
もちろん海の色は全く違います。
しかし、海へ向かって一直線に伸びる道という風景には、どこか共通する魅力があります。
長部田海床路(雲仙岳に向かって伸びています)
長部田海床路も、干潮時に現れる海の道と海中電柱の風景が有名で、今では多くの観光客が訪れる人気スポットです。
海を見て、小魚を眺め、懐かしい小浜島を遠くに眺める。
何もしない贅沢な15分を過ごしたあと、次の目的地である「コンドイ浜」へ向かいました。
西桟橋からコンドイ浜までは、整備された道路が続いています。
緩やかなアップダウンはありますが、南国の風を感じながらのサイクリングは実に気持ちいい。
サイクリングロードは快適です。(車はほぼ通りません)
「これぞ竹富島」
そんな気分になってきます。
10分ほど走ると、コンドイ浜の案内板が見えてきました。
その先に広がっていた景色は、まさに絶景でした。
真っ白な砂浜。
どこまでも続くエメラルドグリーンの海。
そして驚くほど遠浅の海岸線。
竹富島で海水浴ができる唯一のビーチとして知られていますが、その人気も納得です。
海水浴を楽しむ家族連れ。
砂浜でくつろぐカップル。
当たり前に景色に溶け込んでいる外国人。
皆、それぞれの時間を楽しんでいるようです。
竹富島の魅力は、自然をそのまま生かしていることにもあります。
ビーチには派手な売店や大型施設はありません。
あるのは駐輪場、シャワー、トイレなど最低限の設備だけ。
だからこそ、この景色が守られているのでしょう。
私も靴を脱ぎ、波打ち際へ。
寄せては返す小さな波に足を浸します。
さらさらと聞こえる波音。
風に揺れる水面。
何も考えず、その時間に身を委ねていると、不思議と心の中が満たされていくのを感じます。
日頃の忙しさや雑念が、少しずつ波と一緒に流されていくようでした。
ふと我に返って周りを見渡すと、誰もが笑顔です。
それだけで、この場所の価値が伝わってきます。
しばらく浜辺で過ごしたあと、水牛号に再びまたがり、観光センターへ向かいました。
港への送迎バスを待つ間、センター内を少し散策します。
すると、先ほどまで観光客を乗せていた水牛たちが日陰でのんびり休憩中。
みんな気持ちよさそうに座り込み、とても穏やかな表情をしています。
牛は座っている時間が長いほどストレスが少なく、快適に過ごしているとも言われます。
そう考えると、この水牛たちも毎日ゆったりと幸せな時間を過ごしているのでしょう。
どこか満ち足りた表情に見えました。
そして、センターに並ぶシーサーたちにも同じようなものを感じます。
力強くもあり、どこか優しくもある。
「慌てなくていいさ」
そんな声が聞こえてきそうです。
初めて訪れた竹富島。
美しい海や集落の景観はもちろんですが、それ以上に印象に残ったのは、この島独特の時間の流れでした。
自然と共に暮らし、自然を敬い、自然に合わせて生きる。
そんな島の姿に触れながら、自分自身の生き方についても少し考える時間になった気がします。
もしかすると今回の竹富島訪問は、観光というよりも「島時間」という贈り物を受け取りに来たのかもしれません。
次回は竹富島から石垣島へ戻り、再び石垣の街へ。
そして、この旅最大の予約困難店とも言われる人気居酒屋「ひとし」での夕食へと続きます。








