信仰の島に立つ ― 頭ヶ島天主堂で感じた「静かな重み」(第5回)

頭ヶ島天主堂は、中通島有川から東へ車で約30分ほど走った先、頭ヶ島にあります。この島には上五島空港もありますが、現在は定期便がないとのことです。

 

車を駐車場にとめて海を眺めると、遠くにフェリーが見えました。佐世保から有川へ向かう船のデッキから見えた教会――それが、まさにこの頭ヶ島天主堂でした。

 

天主堂周辺は道路や駐車場などが大々的に整備されており、多くの観光客を受け入れられる体制が整っています。敷地入口にはインフォメーションセンターが設けられ、キリシタン弾圧の歴史、島のジオラマ、地域の写真や解説、教会見学時のマナー、各種パンフレットなど、コンパクトながら非常に充実した内容となっていました。

 

(整備された駐車場とインフォメーションセンター(中央の民家)googleマップより)

 

関連パンフレットも充実しています

 

このインフォメーションセンターは民家を改装したものとのことで、駐車場から天主堂へ向かう途中にあります。外観は一見すると休憩所のようにも見えますが、中に入ると立派な資料館のような空間でした。キリスト教弾圧の年表を、ここまで丁寧に見たのは初めてかもしれません。

 

200年以上にわたる弾圧の中、逃げ隠れしながら信仰を守り続けた人々。そして弾圧が終わった今も、その信仰は静かに受け継がれています。宗教というものが、人間にとってどれほど重要で、支えとなる存在なのかを、改めて考えさせられました。
 

このインフォメーションで事前に知識を得られたことは、本当に良かったと思います。教会は観光地ではなく、宗教活動の場である――この後、いくつもの教会を訪れるにあたっての大切な心構えが、ここで自然と身についた気がしました。

 

私は熊本に住んでいます。天草にも、五島と同じキリシタンの歴史を持つカトリック崎津教会やカトリック大江教会があります。これまで何度か訪れたことはありましたが、今回のような視点では見ていませんでした。

 

カトリック崎津教会:天草観光協会HPより
 

歴史や背景、人々の思いに事前に触れることで、心に染み込んでくるものの大きさは、まったく違うものになるのだと実感しました。

 

左手にキリシタンの墓地を見ながら、天主堂へと向かいます。生垣、樹木、敷石、石垣――そのすべてが丁寧に手入れされており、強く印象に残りました。

 

 

 

 

 

 

前日は雪が舞うほどの寒さで、この日もとても寒い一日でした。天主堂のそばでは、おそらく信者と思われる50歳前後の女性が、石垣や敷石の掃除を黙々とされていました。

 

ちょうど天主堂の中を見学していた方が帰られるところで、その女性は手を止め、にこやかに
「周りを歩いてもいいですよ。中も見ていってください」
と声をかけてくださいました。(通常、教会内部の見学には予約が必要です)

 

事前に歴史やマナーを学んだこと、そしてその女性の内面から滲み出るようなやさしさに触れたことで、ほんの少しかもしれませんが、心が清められたような気持ちで内部を見ることができた気がします。

 

帰り際に女性へお礼を伝え、頭ヶ島を後にしました。
 

次に向かうのは、今回の「ちょっと贅沢」旅のメイン――

五島列島リゾートホテル マルゲリータです。