1.行政のデジタル化

 

①デジタル化に向けた考え方

■市長

 スマートフォンの普及に代表されますように、デジタル化やオンライン化はかつてない速さで国際的に進展しており、こうした状況において我が国、そして何よりも本市の市民がその恩恵を十分に享受することができるよう、行政のデジタル化に向け積極的に取り組んでいく考えでございます。

 具体的なサービス等の導入にあたりましては、いわゆるUIやUXの視点も大切にして機能や操作性等の質を高めながら、デジタル技術を通じた行政情報の取得、手続等の過程において、市民の方に利便性を実感していただける環境を整えることが、重要な要素になるものと捉えております。

 また、アナログの良さや対面によります職員対応の利点も活かすなど、デジタル機器の使用が困難な方への配慮もあわせて行うことにより、シニア世代も含め、幅広い年齢層の方が充実した行政サービスを受けられるよう、デジタル化に取り組んで参ります。

 

②取り組みの進捗状況

④窓口混雑の解消に向けた取り組みとオンライン申請

■政策部長(一括答弁)

 本市におきましては、がん検診の申し込みや粗大ごみの回収、職員募集などおよそ60にわたる手続きをオンラインで受け付けているほか、業務効率化に向けたRPAの導入など、従来からデジタル技術の活用を進めて参りました。

 今年度からは、組織を「デジタル戦略課」に改編したうえで、優れた識見を有する民間人材のデジタル戦略推進アドバイザー2名を交え、最新のサービスや国の動向、ユーザー視点など多角的な観点により本市におけるデジタル化を効果的に推進できるよう取り組んでいるところでございます。

 オンライン手続の拡充につきましては、窓口における取扱件数が多いものをはじめとして、幅広く利用が見込まれる手続きを整理したうえで、今年度中をめどに拡大を図り、効果を見極めながら、翌年度以降も手続の増加につなげていく考えです。

 窓口の円滑化に向けては、行政手続のオンライン化を進めていくことで、混雑の緩和に結び付けていく考えですが、直近の取り組みといたしましても、市民課のマイナンバーカードの交付事務において、本年7月にウェブ予約システムを導入し、スムーズな対応につなげたところでございます。

 

③行政文書における押印の見直し

■総務部長

 本市では令和2年12月に公表された国の押印見直しマニュアルを踏まえ、行政手続における押印の見直しを進めて参りました。この押印見直しの結果、令和3年3月末時点で、本市の行政手続において押印を必要としていた様式約1100件のうち、6割の約650件の押印を廃止いたしました。押印を廃止した様式の具体例といたしましては、市県民税申告書や介護保険認定申請書などがございます。

 

 

2.ひきこもり支援

 

①本市が取り組んできたひきこもり支援の概要について

■市長

 ひきこもりが社会問題化し、多くの自治体において、どのように取り組みを進めていけばよいか苦慮する中、本市におきましては、専任の職員として「こもりびとコーディネーター」を配置し、令和元年10月、こもりびと支援窓口を開設いたしました。

 その際、「こもりびと」という呼称が、相談者の方の気持ちに寄り添い、1人でも多くの方から相談を受けることができるようにという思いから、日本で初めて採用したところでございます。

 この「こもりびと」という呼称にしたことにより、NHKスペシャルドラマのタイトルに採用されたことや、これまで行ってきた様々な周知活動により本市の取り組みが広く認識され、数多くの相談が寄せられる結果となりました。

 増加する相談に丁寧に、そして適切に対応し、さらなる支援の充実を図るため、コーディネーターを2名増員し、窓口や電話によるご家族やご本人からの相談を受け、家族間のコミュニケーション回復や就労、医療など必要な関係機関と連携を図りながら支援を行って参りました。

 また、このような取り組みに加えまして、「こもりびと」ご本人が気づき学び合い、今後の社会参加などについて話し合う場として、こもりびとの集いを開催するとともに、ご家族が社会的に孤立しないため、またお互いの心情を共有する場として、こもりびと家族の集いを開催して参りました。

 今後も一人一人の相談者の気持ちに寄り添い、長い期間、「こもりびと」として過ごされてきた人、そしてそのご家族の声に向き合い、新たな一歩、もしくは半歩でも歩み出すことができるための支援に積極的に取り組んで参りたいと考えております。

 

②こもりびと支援窓口の相談状況やコロナ禍による影響について

③本市のひきこもりの人数の把握について

④ひきこもりの当事者ならびに家族の会の開催状況について

■健康福祉部長(一括)

 こもりびと支援窓口の相談状況について、開設年度は10月からの半期となり、新規相談者71人、のべ相談件数167件、令和2年度は新規相談者78人、のべ相談件数539件となっております。

 また、これまで、こもりびとご本人の集いとして4回、のべ21人が参加し、こもりびとご家族の集いとして4回、のべ36人が参加しております。

 コロナ禍による影響としては、家族が在宅ワークになったことで、「こもりびと」ご本人の緊張が高まってしまったり、外出機会が減少し、気持ち的に落ち込んでしまったりしたという相談があり、コーディネーターが気持ちの持ち方やリラックス法、発想の転換などをアドバイスして、心の状態の維持、改善を図っております。

 本市のひきこもりの人数は、内閣府が示す出現率から推計すると、15歳から64歳は約2300人程度と推測しておりますが、実態把握につきましては、調査方法が確立されておらず、一部の人を対象にして行った調査結果から導き出す数字は精度が低いことなどから、現時点におきましては実態把握の調査を行う予定はございません。

 なお、本市といたしましては、相談機関につながらず、悩んでいるこもりびとご本人がこもりびと支援窓口や関係機関に速やかにつながるよう、やまとニュースや広報などを活用し、周知に努める一方で、地域で活動される民生委員・児童委員の方などとも連携し、1人でも多くの「こもりびと」の支援につながるよう取り組みを進めて参ります。

 

 

3.自殺対策

 

①本市の自殺者数とその特徴について

■健康福祉部長

 本市における2018年、2019年のコロナ禍前と2020年、2021年7月までのコロナ禍の期間における警察庁自殺統計に基づく自殺者数、年代等の比較においてお答えいたします。

 

        自殺者総数  20代未満 20代 30代  40代  50代  60代 70代 80代以上

コロナ禍前 63人      5人      6人  7人  18人 10人 9人  6人  2人

          (男性46人女性17人)

コロナ禍   64人      3人      7人  11人 13人  11人  8人 7人  4人

          (男性40人女性24人) 

 

 コロナ禍前とコロナ禍における自殺者等の状況を比較いたしますと、対象期間が短いコロナ禍でございますが、自殺者数はわずかに増加し、男性の自殺者が減少している一方で女性は増加しております。

 

②コロナ禍における人間関係の希薄化と自殺対策について

■健康福祉部長

 コロナ禍による感染拡大防止のための外出自粛や他者との交流の抑制は人々の気持を抑圧し、個人個人が抱えている悩みを助長させることにつながるものと考えます。

 そのようななかで、誰かに抱える悩みを話すことは、新たな気づきや気持ちの整理、自殺防止のきっかけになることから、専用の自殺防止相談電話を設けるとともに、自殺の多い月や自殺予防週間等に大手検索サイトにて自殺に関連する言葉で検索した場合に、本市の相談窓口を表示するリスティング広告を実施しております。

 あわせて、自殺防止の取り組みについては、一人でも多くの人が自殺に対する関心、知識を持ち、身近な人に目を配ることが重要であると考えております。

 そのため、シリウスの大和市立図書館をはじめ、市内の市立図書館において自殺防止、自殺対策に関する図書の紹介などのキャンペーンの実施やサポーターの養成、インターネットを活用したサポーターミニ講座の動画の配信など様々な手法を活用し、取り組みを進めております。

 引き続き自殺により尊い命が失われることを防ぐため、悩みを抱えた方が適切な相談窓口につながることができるよう関係機関などとの連携強化に努め、自殺対策に取り組んで参ります。

 

③小中学校における自殺予防の取り組みについて

■教育部長

 小中学では児童生徒自らが、命の大切さを実感し、自己肯定感を高められるような教育活動に取り組むとともに、心身の悩みや不安を抱える児童生徒を早期に発見するため、アンケートの結果などを活用し、丁寧に教育相談も行っております。

 また、心身の悩みや不安への対処の方法について、電話やメールでの相談窓口や匿名報告相談アプリ「STOP it」などのツールが活用できることを伝えており、児童生徒がいつでも相談できる態勢づくりに努めております。

 

 

4.訴訟事務の適正性

 

①顧問弁護士を置く意義、目的について

■総務部長

 本市の顧問弁護士は行政運営に関する専門的法令解釈、および法令の運用にかかる法律相談において、市として指導、助言を求めるため委託しております。

 

②顧問弁護士が市長の裁判の代理人を引き受けたことの適正性について

■総務部長

 本市の顧問弁護士は、行政の法律上の課題について相談するために委託しており、あくまで使用者側に対し助言する立場でありまして、職員の個人的な相談を受けたり、助言したりすることはございません。したがって、使用者側である市長の代理人になっていただいたことによって、被用者である職員との間で利益相反や双方代理といった問題が起こることはございません。