大和市議会は3日、厚生常任委員会を開催しました。私は委員として出席し、令和2年度の一般会計決算や今年度予算、認知症1万人時代条例などを審議しました。

 

 そんな最中のお昼休みに、菅総理が辞任するとのニュースが入りとても驚きました。翌4日付の朝刊各紙は当然、1面トップで大きく報じています。

 

 前政権時代も含めて、コロナ問題が始まってからの1年半、「過剰自粛反対」の立場から政府の対応にイラついたり怒ったりしたことが多々ありました。インフルエンザ等対策特措法の改正をはじめ、「法の支配」や自由、民主主義の観点から疑問に思うことありました。その点は、このブログで過去に投稿してきた通りです。

 

 ただ、冷静に振り返ると、菅総理はコロナ対策と社会経済の両立に注力し、「安心とにぎわいのある日常を取り戻す」ために全力で取り組みました。日本の多くの地域では緊急事態宣言が長期にわたり発令されています。酒類の提供は禁止され、違反なら罰則の可能性もあります。コロナだけでなく、コロナ対策で苦しんでいる方も多数いますが、報じられる諸外国の様子と比べると、行動制限はあながち厳しいとは言えません。

 

 菅総理は、コロナ不安で覆われる世の中の「空気」とも戦い続けました。「後手後手」と叩かれて内閣支持率を下げようとも、強硬な人流抑制策に踏み切ることはありませんでした。我が国を全体主義社会に転換させかねないロックダウン法制にも、慎重な姿勢を崩しませんでした。菅総理のウィズコロナ路線は、別のリスクである「コロナ対策禍」をできる限り抑えて全体最適をはかるための配慮にしか見えませんでした。

 

 医療体制の整備や医療資源の適正化は政府の責任です。ですが、感染拡大は国民の行動に依るところも大きく、政府だけにその責任を負わせるのは酷でしょう。それでも、菅総理は、東京都や神奈川県の知事のように都県民を上から目線で批判することもせず、ひたすら低姿勢に協力を呼びかけ続けました。いずれも、強い信念や精神がなせるわざです。

 

 コロナ下でのオリパラ開催、デジタル庁の発足、携帯電話料金の値下げ、少人数学級の推進、不妊治療の保険適用化、孤独対策・・・。1年間で大きな実績を積み重ねました。脱炭素型社会についてはエネルギー政策の観点から批判もあり評価は難しいですが、大きな取り組みであることは確かです。

 

 とりわけコロナ対応をめぐっては、「1日100万回接種」と大号令をかけてワクチン接種を迅速化しました。供給が遅れたりして現場で混乱はしましたが、デルタ株への変異で検査陽性者数が急増するなか、死者はそれほど増えていません。以下に東洋経済オンラインの死亡者推移グラフをこちらで切り貼りしてつなげた合成画像を掲載しておきます。数値化は難しく成果は見えにくいですが、ハイリスク層である高齢者や基礎疾患保有者を優先した接種の迅速化によって、多くの方が救われているはずです。

 

 

 「仕事師内閣」の看板に偽りはありませんでした。本人は道半ばでしょうし、国民の批判を一手に引き受けてしまい、さぞ無念だろうと拝察します。私も大変残念ですが、正当に評価されるときがいずれ来ると確信します。最後の大仕事として、コロナの「出口戦略」の提示を期待してやみません。