新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が発令されて初の週末を迎えます。日本人は真面目な国民性なので、「家にいてほしい」と要請されれば、大方が協力するのではないかと推測します。
 
 安倍晋三総理は7日の記者会見で「今まで通り外に出て散歩したり、ジョギングをすることは何ら問題はない」と語りました。報道によれば、鈴木大地スポーツ庁長官も8日の記者会見で、同じ趣旨の発言をしています。ただ、周囲の目線を意識して、かたくなに外出を控える方も多くなるのではないでしょうか。
 
 運動不足は免疫力の低下につながります。新型コロナウイルスにかからなくても、他の病気で亡くなってしまったら元も子もありません。

 

 平成28年4月の熊本地震では、避難所や車にじっと閉じこもることによって、心臓から肺に血液を送る肺動脈の血栓が詰まる「エコノミークラス症候群」が指摘されました。動かない状態が続けば、心身の機能が低下して動けなくなる「生活不活発病」になる恐れもあります。外出自粛の長期化も懸念され、二次災害の防止も必要不可欠です。

 
 新型コロナウイルスでお亡くなりになる方の大半は、高齢者や基礎疾患を抱えた方です。感染を避けるだけでなく、健康増進に向けた取り組みも同時並行的に行ったほうが良いと思います。
 
 日本老年医学会はホームページで、フレイル(虚弱)を進めないために「テレビのコマーシャル中に足踏みするなど身体を動かすことやラジオ体操のような自宅でできる運動」を勧めています。東京都理学療法士協会では、自宅でできる簡単な運動を動画で解説しています。
 
 外出自粛は一つの手段に過ぎません。目的は感染拡大を抑えるための人的接触の大幅縮小ですが、究極的には死者や重症者の数を極小化することであるべきです。室内での体操だけでなく、ソーシャルディスタンス(他者との一定の距離)を維持した散歩やジョギングは積極的に推奨されて然るべきでしょう。政府や行政機関は積極的に広報周知してほしいです。