週末はまったく外出しませんでした。感染拡大を防ぐために人間同士接触しなければよいという理屈は理解しますが、正直、自粛疲れもなくはありません。

 さて、毎度になりますが、私は報道が過熱している時には努めて冷静でいるべきだと考えています。それには背景があります。

 記者時代、BSE(牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病)の取材に携わったことがあります。平成13年秋、千葉県内で感染牛が日本で初めて発覚。私は千葉総局記者として取材にあたりました。振り返ると、国内で危険な牛肉を食べたことによる死者は全然いなかったにもかかわらず、牛肉が店頭から姿を消したり、吉野家が牛丼を取りやめるなど大騒動となりました。

 「もっと冷静に報じたほうがよいのではないか」と意見したこともあったのですが、上司の答えは「こういう時には不安を煽るんだよ」。駆け出しの新米記者に歯向かえるわけもなく、過熱報道の一翼を担いました。

 国内初の感染牛を飼育していた酪農家の男性に単独でインタビューしました。手塩にかけて育てた46頭の牛が、感染牛と同居していたために焼却処分され、辛さからお酒に逃げる日々が続いたということでした。全国では自殺した酪農家もいました。「煽り過ぎたんじゃないか」という反省のもと、自分自身は冷静な視点を持っていようと心に決め、前職時代、煽るような報道は避けてきたつもりです。

 


 新型コロナウイルスでは死者が出ています。BSEとは状況が違いますが、それを割引いて考えても、過熱しすぎだと思います。

 私は専門家ではありませんし、以下は素人の素朴な疑問です。新型コロナウイルスの日本の死亡率(人口当たり)が低いことは、新聞等で連日報道されている世界各国の感染データでも分かります。何故かなぁと疑問に思って調べていると、「新型コロナウイルスは高温多湿で死滅する?」と題した記事が見つかりました。

 

 

 記事では、中国・武漢やイタリアなど感染拡大が深刻な都市の大半は「北緯30~50度、低温・低湿度のゾーンに収まっている」とする米メリーランド大学の研究報告を紹介し、「新型コロナウイルスも、高湿度になると死滅する性質を持つことを示唆する結果といえるのではなかろうか」と推測しています。

 一方、BCGワクチン接種とコロナ死亡率に逆相関関係がある(=死亡率が低い地域はBCGワクチンを接種している)との仮説も出ており、実際に因果関係があるのかどうかを検証する臨床実験を始めた国もあります。解明が待たれます。

 新型コロナウイルスのウイルス名は「SARS-CoV-2」ですが、2002年から2003年に猛威を振るった中国発のSARSは日本で感染例を出すことなく、7月に終息宣言が出ました。

 

 「SARS2」とも言うべき新型コロナウイルスも長期化せずに終息してくれないか。高温多湿になったら死滅してくれないか。「危機感が足りない」と怒られそうなご時世ではありますが、そんな淡い願望を抱きながら、心を落ち着けています。