大和市議会12月定例会の本会議が20日、行われました。重要なトピックで言えば、市立病院に10億円を貸し付ける補正予算案などが可決されました。また、地元紙、地元テレビや全国紙の地方版で報じられていますが、市長の在任期間は3期までとする努力義務規定を盛り込んだ多選自粛条例(大和市長の在任期間に関する条例)の廃止条例案(議員提案)が賛成多数で可決されました。採決結果は賛成15人、反対11人、棄権1人でした。私は反対しました。
 
 多選自粛条例をめぐり、私は昨年6月議会と12月議会、そして改選後の6月議会で3回にわたって一般質問しました。
 
 昨年6月議会では、大木哲市長が4選出馬する場合には条例に違反することになるし、出馬しない場合でも後続の市長を拘束し、立候補する権利の制約につながる。なので、4選出馬しようがしまいが改廃すべきではないかと訴えました。昨年12月議会では、大和市において多選の弊害が出ているのではないかと指摘。大木市長が今春、4選を果たした直後の6月議会では、3月議会で可決された多選自粛条例の遵守を求める決議に対する見解を問い質し、風通しの良い市政運営を心がけるよう求めました。
 
 私は多選自粛の理念や考え方には大いに共感しますが、条例化にはなじまないと考えます。なので、条例を廃止すること自体には賛成です。
 
 ですが、この議会に提出された多選自粛条例を廃止する議案は、議員提案です。この条例は大木市長が自身の公約の実効性を担保すべく制定しており、政治的かつ属人的な性質が強いため、市長が提出すべきだと考えます。また、自治省(現在の総務省)は「執行機関の執行の有効要件としての議決については議員に提案権はない」と解説しており、地方自治法の趣旨を踏まえると、提出権は市長に専属するのではないかと解釈します。
 
 さらに、首長と議会が両輪をなす二元代表制において、首長と議会は互いに緊張関係を保つことが求められています。大和市の市議会基本条例でも明示しています。議院内閣制を採用している国会では与党から総理が選ばれます。与党は総理を支援し、野党がチェック機能を担います。一方、建前に過ぎないという見方もありますが、地方議会は制度上、そのような棲み分けはありません。

 

 議会から廃止条例を出すことは、二元代表制における議会のチェック機能を損なうことにつながるのではないかと考えました。このような前例ができると、全国の他の地方議会に影響を及ぼしかねないことも危惧しました。

 
 私は4月の選挙戦で、二元代表制の機能を十分に発揮させることを公約の一つに掲げました。私が公約に違反すれば、自身としてチェック機能を働かせることもできにくくなってしまいます。自分が市議会議員である意味が薄れてしまいます。
 
 以上のことから、議員提案による多選自粛条例の廃止案には反対しました。
 
 この度の条例廃止に伴い、市長が条例に違反している状況(私なりの比喩表現で言えばモラルハザード)は解消されます。政治的に見れば、大木市長の5選出馬への障壁が取り除かれ、「市長派」が過半数に達しました。政治基盤は強化されることになるでしょう。
 
 最後に、私の考えを踏まえて「自主投票」にしていただいた会派、自民党・新政クラブの皆様方にも感謝申し上げます。多方面にご心配やご迷惑をおかけし、自身の政治力の未熟さも痛感しましたが、御容赦願いたいと存じます。