米朝首脳会談が12日、行われました。一言で言えば、「完全な非核化」の具体策を詰めないままに、「体制の保証」を約束したということになります。核開発を外交のカードとして利用してきた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長からすれば、「してやったり」とほくそ笑んでいるのではないでしょうか。
 
 首脳会談のなかで、トランプ大統領が拉致問題を取り上げたことは有難いですが、具体的な話は見えていません。
 
 トランプ大統領は会談後の記者会見で、対話継続中に米韓合同軍事演習を凍結することや、在韓米軍の縮小・撤収の将来的な可能性に言及しました。これは北朝鮮の意向に沿った発言と言えるでしょう。
 
 さらに、非核化の費用について「韓国と日本が支援するだろう。彼らは支援しなければならないと分かっている。アメリカが支援する必要はない」と述べました。日韓両国と事前に調整した上での発言なのでしょうか。軽はずみというか無責任な発言に驚きというか怒りを禁じ得ません。
 
 今回の会談は対話のプロセスの始まりであると理解し、今後の閣僚級の交渉に期待するほかありません。