15日も超党派団体・全国若手市議会議員の会の研修会で東京都荒川区をお邪魔しました。テーマは①防災対策②高架下の保育園③文化複合施設「ゆいの森あらかわ」④荒川区民総幸福度―の4コマ立てです。
 
 荒川区は人口21万人超で下町風情を残しています。木造住宅密集地域も多く、大和市と大変似通った自治体です。大変参考になり、充実した研修だったので、備忘録までに詳報します。長文になってしまいましたが、地方行政にご関心の方は是非ご一読ください。
 
 
 
 (1)防災対策
 荒川区は、火災発生時に延焼する危険性が高い木造住宅密集地域が6割を占めています。消防機関の対応には限界がある上に、断水時に消火用水が枯渇する可能性があるため、隅田川からの河川水や地下水といった震災時にも活用できる水源を「永久水利」と呼んで、整備しています。
 
 「自分たちのまちは自分たちで守る」という意識を培うため、防災教育も大変充実しています。区立中学10校全校に防災部を設置。中学生の7分の1にあたる444人(平成29年度)が防災部に入り、ポンプ操作や永久水利送水の訓練を実施しているほか、2年間で計430名がジュニア防災検定を取得しています。防災意識を高めるため、東日本大震災の被災地である岩手県釜石市を訪れ、生徒と交流しています。
 
   特筆すべきは、中学生が自発的に年2回の防災対策会議を立ち上げたことです。防災が大変重要な土地柄を割引いて考えても、優れた取り組みです。
 
 
 
 
 (2)高架下の保育園
 荒川区では、待機児童解消に向け保育定員を拡大しています。なかでも、駅近で利用者の利便性が高く、保育所用地の確保が容易な鉄道高架下の空間を活用し、保育所を整備しています。東京都と千葉県をまたぐ京成電鉄が金町(東京都葛飾区)、船橋、鎌ケ谷で高架下の保育園の敷地を賃貸していた実績も踏まえ、京成町屋駅の近くにこの4月、定員60人の認可保育所を整備しました。
 
   鉄道高架の振動が建物に伝わらないように配慮し、内装壁や天井に吸音材を設置するなどして、騒音対策に努めています。現場を訪れると、電車が移動する度に多少の音はしましたが、「1週間もすれば慣れて眠れるようになる」ということでした。
 
 余談ですが、この研修では、前職時代から面識があり、全国若手市議会議員の会OBの中村実・千葉県議(自民党、船橋市選挙区)も参加していました。尊敬する地方議員の一人であり、旧交をあたためました。
 
 
 
 
 (3)文化複合施設「ゆいの森あらかわ」
 荒川区は昨年3月、①中央図書館②同区ゆかりの作家である吉村昭氏の記念文学館③子どもひろば―の3施設を複合した「ゆいの森あらかわ」をオープンしました。大和市も平成28年11月に文化複合施設「シリウス」を開館しましたが、雰囲気がとても似ています。「図書館らしくない図書館を目指している」ということで、静かにしなくてよいスペースを設けたり、飲食しながら読書できたり、併設のカフェで貸し出し前図書を持ち込んで読むことができたり…という点が共通します。
 
 一方、シリウスと異なるのは、施設に防災機能を持たせていることです。免震構造を採用しつつ発電機や備蓄倉庫を備えることで、災害時には帰宅困難者を受け入れられる避難所として活用できます。
 
 
 
 (4)荒川区民総幸福度
 「区政の究極の目標は、区民が幸せだと感じられることだ」元衆院議員の西川太一郎区長の号令のもと、「荒川区民総幸福度」を開発しました。ブータン王国で提唱された国民総幸福量(GNH=Gross National Happiness)にちなんで、横文字ではGAH(ガー=Gross Arakawa Happiness)と呼びます。健康・福祉、子育て・教育、産業、環境、文化、安全・安心といった6分野の46の指標を設け、区民に対するアンケートを行い、長期計画の成果指標などに活かしているそうです。
 
 区では、住民の幸福実感向上を目指す基礎自治体の連合体である「幸せリーグ」を発足。全国の約100市町村が参加しています。この度の研修で初めて知りましたが、実は大和市も加入していました。
 
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 荒川区は路面電車で有名です。見たことはありますが、乗車したのは初めてなので新鮮でした。線路には色とりどりの花が植えられており、とても綺麗です。一方、ある道路の真ん中に電柱があり、驚かされました。部外者が夜道を運転したら、危なそうですね。
 

 

 夜は地元に戻り、大和青年会議所のシニアクラブ(OB会)に出席しました。