北朝鮮が29日早朝、弾道ミサイルを発射しました。ミサイルは日本列島の上空を通過しており、我が国の安全保障に直接的な影響を与えています。大変許しがたい暴挙です。上空通過は5回目で平成28年2月以来。このうち事前通告がなかったのは平成10年8月以来2回目ということです。

 

 米国を怒らせないようにグアム沖に撃つのをやめて別方向に飛ばしたのか。それともグアム沖への発射予告はまだ生きているのか。ここを見極めないと今回のミサイル発射の意味合いはつかめないでしょう。

 

 ミサイルを撃たせないための外交的努力が求められます。その一方、事態は悪化する一途であり、日本としても新たな対応が迫られています。防衛省は来年度予算に向けて、陸上イージス(イージス・アショア)を導入するための経費を概算要求すると報じられています。迎撃能力の向上が必要なのはもちろんとして、敵基地攻撃能力の保有に向けた議論を始めるべきだと考えます。

 

 私の住んでいる大和市では、厚木基地近くで戦闘機が慌ただしく飛んでいました。おそらく米海軍の警戒レベルが上がったのでしょう。大和市は、防犯・防災の緊急情報を配信する「PSメール」で、ミサイル飛来を伝達しました。

 

 《06:24》 さきほど、北朝鮮のミサイルが6時6分ごろ北海道地方から太平洋に通過したもよう。

 

 《07:01》 8月29日(火)北朝鮮西岸から北東に向かって05時58分頃、発射されたことを確認。ミサイルは06時12分頃、襟裳岬東方の東約1180キロメートル太平洋上に落下したものと推定。本市への影響はない。

 

 括弧内の時間は、私の携帯電話やパソコンに大和市のPSメールが着信した時刻です。ミサイルが着弾したのは6時12分頃ですから、第一報はその12分後となります。

 

 最初に着信時刻を確認した時は、「全然間に合ってない。大丈夫か?」と思いました。メールをもらった人は同じような思いを持ったかもしれません。ただ、今回、大和市はミサイル飛来の恐れがなくJアラートの発動対象ではありませんでした。PSメールにおける情報提供は任意で行われたということです。

 

 ミサイル発射に対する住民保護は総務省や地方自治体が担当します。Jアラートの発動対象となった時に大和市がきちんと対応できるのかどうかは、市議会議員として確かめなければなりません。私が今年度所属している大和市議会の総務委員会は危機管理もカバーしています。きちんと質したいと思います。

 

 なお、私は6月議会の一般質問で、北朝鮮ミサイルへの対応を取り上げました。転載します。

 

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 北朝鮮の情勢が緊迫化しており、軍事的脅威は新しい段階に進んでいる。昨年は核実験を2回行い、23発の弾道ミサイル発射を強行した。今年は既に十数発の弾道ミサイルを発射している。あまりにも頻繁なので不感症になりがちだが、我が国に対する直接的な脅威だ。国連安保理決議に明確に違反しており、断じて許すことはできない。

 

 北朝鮮の朝鮮中央通信は3月6日に弾道ミサイル4発を同時に発射した際、「在日米軍基地を攻撃目標に想定して行われた」とする談話を発表し、在日米軍基地に初めて言及した。

 

 実際に北朝鮮がミサイル攻撃を在日米軍基地にするのだろうか。私はその可能性は限りなく低いと思う。本当にそんなことをすれば、在日米軍が反撃して北朝鮮は即座に崩壊する。戦後、軍事大国のアメリカに対し、自ら戦争をしかけた国はない。軍事力の圧倒的な差は抑止力になると考える。ことさら不安になる必要はないだろう。

 

 一方、北朝鮮が考えていることは誰も読めないのも事実だ。専門家の見立ては憶測や推測に過ぎない。ミサイルを撃たないと断定することもできない。東日本大震災も、「1000年に一度」という大規模災害が実際に数年前に起きた。行政にとって、市民の生命や財産を守ることは最重要の課題であり、大前提だ。万が一に備えて、事前に対策をすることに越したことはない。

 

  そこで3点伺う。
①万が一のミサイル飛来時に、市内で逃げる場所はどんなところが想定されているか?
②大和市は大地震に備えるためシェイクアウト訓練を行っているが、Jアラートを活用するなどした避難訓練はどうか?
③避難方法をHPにアップするだけではなく、広報や「やまとニュース」などで積極的に広報することが必要ではないか?

 

■市長室長(一括答弁)
 武力攻撃事態等が発生した場合の避難施設は、本市では市立小中学校、及び、大和市保健福祉センターが神奈川県の指定を受けており、国からの指示に基づき、安全な避難場所を状況に応じて開設する。

 

 次に、Jアラートによる訓練について、本市では、国が実施する一斉情報伝達訓練に毎年参加しており、緊急情報の受信とともに、防災行政無線や市役所本庁舎の庁内放送を自動作動させるなど有事に備えている。なお、Jアラートを想定した避難訓練は国の主導のもと、効果的に実施することが必要と考えており、引き続き、国、県の動向を注視して参る。

 

 弾道ミサイル落下時の行動について、国はできる限り頑丈な建物や地下に避難する。物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る。窓から離れるか、窓のない部屋に移動するといったことを原則としている。

 

 本市では基本的な情報をホームページに掲載するとともに、内閣府のポータルサイトにリンクを貼るなど、市民の皆様への周知に務めているところだ。今後は、自主防災会等の様々な団体に対して、防災講話を実施する際にJアラートや弾道ミサイルへの説明をするなど、様々な機会を捉えて周知に努めて参る。

 

【小田の意見・要望】
 答弁をいただいた。政府がまとめた「国民の保護に関する基本指針」では、避難住民を誘導する役割を持つ市町村が、「避難実施要領」を策定するよう求めている。神奈川県庁の危機管理対策課に県内19市の策定状況を問い合わせたところ、14市が作成済みで、1市が作成中ということだった。大和市は作成済みということでホッとした。

 

 本市の避難実施要領では、弾道ミサイル攻撃のパターンを明記。「国からミサイル発射の警報と避難措置の指示が同時に出されると考えられる」「ミサイル発射から避難までの時間的余裕がない」などの3点を記している。また、防災無線のサイレンを最大音量で鳴らし、避難方法を繰り返し放送する、といった手順を定めている。これは一市民としても知っておいた方が良い情報だと思う。

 

 北朝鮮のミサイルをめぐっては、ゴールデンウィークに東京の電車が止まったことがあった。「平和ボケ」を薦めるつもりはないが、過剰な対応や反応は控え、冷静に対処すべきだ。このように市側にも求める。

 

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 念のため、内閣官房の国民保護ポータルサイトへのリンクを貼っておきます。まだ御覧になっていない方は、万が一に備えてみておくと良いと思います。