11日は市議会会派の行政視察の2日目。帯広市よりさらに東の釧路市で、 生活保護自立支援プログラムについての研修です。
 
{05C17643-BFC0-4FF4-AC50-ABA5F42F2501}
 
   釧路市では平成14年1月の太平洋炭鉱閉山に伴って大量の失業者が発生。生活保護の受給者数が増え続けてきました。平成20年9月のリーマンショックも打撃となり、ピーク時の平成24年度には受給者数が1万人を突破。保護率は18人に1人にあたる55.1‰(パーミル。1000人あたりの割合)となり、全国平均の3倍近くにまで達しました。
 
    ですが、景気回復による雇用情勢改善や市が強力に進めてきた生活保護自立支援プログラムの成果によって、平成28年度の受給者は9000人を下回り、保護率も51.1‰に低下。依然としてかなり高いものの、数値は着実に改善しておりV字回復の軌道に乗っています。
 
    釧路市が平成18年度から始めた生活保護自立支援プログラムでは、ケースワーカーらによる就労支援だけでなく、公園管理や動物園の環境整備、介護などのボランティア体験までバラエティに富んだプログラムをきめ細かく提供。平成28年度は、就労支援プログラムに参加した生活保護受給者980人のうち、6割超の619人が就労し、13%の130人が自立しました。
 
{3590E90D-A5A9-4B7E-8CC5-08EED18C95B4}
 
    特にユニークなのは、このプログラムの効果を定量的に評価していることです。「事業が生み出す価値」を「事業に投じられる資源」で割り算し、SROI(社会的投資収益率)を算出しています。
 
    具体的には、勤労意欲の向上や社会参加の実感といった目に見えにくい成果を円に換算し、就労に伴う生活保護費の削減額などと足し合わせて分子とし、この事業に関する釧路市の委託費や人件費等を分母とします。「ボランティアの参加を促して何か意味あるの?」という疑問に答え、業務改善のためのPDCAサイクル確立にもつなげています。
 
    これらの取り組みによって、生活保護受給者1人にかける扶助費のコスト(平成27年度)は月12万5000円となり、道内主要市の中でもっとも低いということです。
 
{CD8DBFF1-B395-4F3D-BA6B-71CA76525A61}
 
    市役所1階にある生活福祉事務所内にハローワークの出張所を設け、ワンストップで就労への移行をスムーズにしている点も優れた取り組みだと捉えました。
 
{288E90D9-2D43-4162-AC0F-28410DDE465F}