7月2日に投開票を迎える都議選が、最終盤を迎えています。都議会第一党である自民党と小池百合子都知事が擁する都民ファーストの会が議席を争う一騎打ちの構図となっています。小池都知事は都民ファーストの会の候補者を大量に擁立して戦っており、公明党などを加えた「小池支持勢力」が過半数を握るかどうかが焦点でしょう。
 
 地方行政は二元代表制です。首長と議会は車の両輪であり、議会はチェック機能が求められています。与党議員が大臣や副大臣などで政府に直接参画する議院内閣制と異なります。国会では、与党議員が政府を応援するのが大原則ですが、地方行政は本来そうではありません。そのような原則論からすると、小池知事が地域政党を立ち上げたことは、地方自治の本旨に反します。
 
 似たような地域政党の先駆けは、大阪維新の会です。大阪維新も理屈上はおかしいのですが、「大阪都構想」をはじめとして既成政党と対立する先鋭的な政策が多いため、少なくとも地域政党をつくりたい理由は理解できます。
 
 ひるがえって、都民ファーストの会はどうでしょうか。小池都知事の政策にそこまでの先鋭性はありません。既成政党と調整できない政策が多いとも思えません。実際、東京都の平成29年度一般会計予算は39年ぶりに全会一致で可決されています。
 
 最近、雨後のタケノコのように色々な問題が起きているので、自民党に対する批判は強いかと思います。適切な批判は真摯に受け止めなければなりません。ただ、一つだけ間違いなく言えることは、自民党は決して無責任な政治はしてこなかったということです。これは行政運営で最も大切な点です。
 
 小池都知事は6月20日の緊急記者会見で、「築地は守る、豊洲を活かす」として豊洲移転、築地再開発の方針を示しました。築地市場は豊洲に移転するが、5年後には築地を再開発して「食のワンダーランド」にするのだそうです。
 
 都内に市場を2つ開くということなのでしょうか。豊洲市場の費用に充てるはずだった築地市場を売却しないというのですから、都の財政はどうなるのでしょうか。
 
 会見資料では「築地の有効活用でキャッシュを継続的に創出可能」と記していますが、それを説得させる具体的な根拠は何も示されていません。選挙前には明らかにできない腹案があるのかもしれませんが、少なくとも現状の説明は、両方に良い顔をしたい「選挙ファースト」であり、「フーリッシュ(愚かな)スペンディング」です。膨大な借金を都民に押しつけかねない方針であり、無責任極まります。
 
 小池都知事のメディア対応も疑問符がつきます。同日の緊急記者会見の動画を見ると、自分の説明は26分であるのに対し、記者との質疑応答はわずか3人、5分間だけでした。小池都知事の就任後、最大の都政課題として設定したのにもかかわらずです。とても驚きました。
 
 小池都知事は「豊洲整備でできた借金をどう返すのか」との質問に対し、「市場会計を痛むことがないよう、税金を新たに投入することがないような方策を検討させたところだ」と答えました。具体性ゼロです。この会見は、記者から突っ込まれてボロを出さないように質疑を短く打ち切ったとみられても仕方ありません。
 
 小池都知事は会見で「豊洲市場の安全性をしっかり情報公開することで風評被害を払拭したい」と述べましたが、豊洲の風評被害を作り出したのは小池知事本人といっても過言ではないでしょう。
 
 都民の皆様におかれましては、都議選では、これらの要素をご一考していただければと存じます。最近の政府・自民党に対して不満が大きいのも分かりますし、反省すべきはしなければなりません。ですが、都議選は本来、国政とは関係ありません。都政の課題について判断するのが本筋です。
 
 一時のムードやブームで「無責任な政治」を容認すべきではありません。私は、「責任ある政治」を最も進めてきた政党は自民党であると確信しています。