9日は、14日の市議会で一般質問する予定のふるさと納税を調べるため、東京・有楽町の「ふるさとチョイスCafé」を視察しました。
 
 このカフェでは、ふるさと納税の総合サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク(東京都渋谷区)が制度の紹介や説明を行っており、地域の特産品や工芸品も展示しています。ということで、店長さんからお話を伺いました。
 
 
 結論から言えば、現在、過熱している返礼品競争の是正をはじめ、行き過ぎた点は見直さなければなりませんが、制度自体は地域振興に役立つ優れたものだと理解しました。
 
 たとえば、ふるさと納税には、政府や自治体が「こんなプロジェクトを実施したい」と呼びかけてインターネット上で事業資金の寄付を集める「ガバメントクラウドファンディング」という仕組みがあります。
 
 
 徳島県鳴門市では、第一次大戦時、市内の収容所でドイツ兵捕虜を人道的に処遇し、ドイツ側から感謝された偉人・松江豊寿の顕彰碑を建立するための事業費200万円を募集しました。将棋の駒生産量日本一の山形県天童市では、新たな飾り駒を製作するための費用1000万円を募りました。いずれも目標金額を達成したということです。この手の「寄附募集コンテスト」は、比較検討しているだけでも楽しくなります。
 
 その後は、墨田区役所を訪ねました。
 
 
 同区では、地域ゆかりの葛飾北斎を紹介する「すみだ北斎美術館」が昨秋にオープンしました。その総工費34億円の一部を集めるため、平成26年度からふるさと納税制度に本格的に参加。産業振興や観光に資するべく、伝統工芸品の江戸切子をはじめとした「すみだブランド」産品や、水族館のパスポート、東京スカイツリーのレストランのランチ券を出品しています。
 
 
 ふるさと納税によって寄付を集めた額は平成27年度は約1億7000万円、28年度(12月時点)は約1億9000万円に達しました。大変大きな額です。苦戦を余儀なくされている首都圏の自治体のなかでは、大善戦しています。
 
 とはいえ、返礼品競争の激化から、区外に出ていく税源流出額は墨田区でも激増しています。平成28年度課税における税源流出(税額控除)は約2億円。29年度は倍増すると見込まれています。寄付額と流出額の収支で言えば、「首都圏の優等生」の墨田区ですら安穏とできません。
 
 今後、政府が制度をどう見直すかにもよりますが、首都圏の都市部の自治体は、いかに負け幅(減収額)を少なくするかの戦いになると捉えました。
 
 さて、調査を終えて帰ろうとしたら、小田急線新宿駅の地下で新装のおにぎり屋さんを見つけました。店名は「おだむすび」。何とも素晴らしい名前ですね。