4日は文化創造拠点のオープン翌日ということで、元経済企画庁長官で作家の堺屋太一さんの開館記念講演(無料)に参加しました。
 
 
 堺屋さんは通産官僚時代に大阪万博(1970年)を手掛け、予測小説『団塊の世代』で同名の新語を生んだことでも知られます。天才・織田信長と秀才・明智光秀の考え方の対照的な違いを独白形式で描いた歴史小説『鬼と人と』は、私が学生時代に読んだ愛読書の一冊です。
 
 堺屋さんは講演で「最も安全、安心、正確、清潔な国だ」と日本を評価する一方、「先に上る階段や次の目標がない」と指摘しました。また、「官僚主導」による戦後の国づくりが①東京一極集中②終身雇用制度③流通の無言化(=モノを買う際に会話しなくなった)④小住宅化⑤人生の規格化ーをもたらしたと解説。他人との付き合いや地域コミュニティーが希薄化している現状を憂慮しました。
 
 ほかにもいろいろ貴重なお話がありましたが、「子供に家を残すよりも人生の誇りを残したい」という言葉が大変心に残りました。子供を次世代に言い換えれば、日本、神奈川県、そして大和市に暮らす「誇り」を生み出せる政策が必要だと感じた次第です。
 
 
 講演を聴く前の数時間、文化創造拠点内をぶらつき、保健福祉センターから移設された「健康度見える化コーナー」で、脳年齢測定器などを試してみました。私の結果は芳しくなく企業秘密ですが、無料ですし、是非ご利用いただけると良いかと思います。
 
 同じ4階のテラスには、デジタル地球儀「触れる地球」もあります。ライブカメラによる世界各所の生中継映像も観ることができ、地球儀を回して南極のある地点を選ぶと、近くのディスプレイにペンギンが映し出されました。この地球儀は東京・上野の国立科学博物館などにも設置されていますが、図書館での導入例は現在、ここだけだそうです。
 
 
 開館初日には気づきませんでしたが、ベランダの一角にはあんばなどの健康遊具もありました。訪れるたびに新たな発見が見つかるかもしれません。
 
 
 館内で話しかけられた男性から「大和市も文化レベルが上がった。これからは市民がどう引き上げていくかだ」と伺い、得心しました。「仏作って魂入れず」とならないよう、せっかくのハコモノを活かして大和市の文化レベルをあげる方向に持っていけると良いです。