蓮舫氏が15日、民進党の代表に選出されました。蓮舫氏をめぐっては二重国籍の問題が浮上。本人の説明が二転三転する迷走ぶりは、かつての鳩山由紀夫首相を彷彿とさせました。


 最近の発言はこんな感じです。


 「質問の意味が分からないけど、私は日本人です」(2日付産経インタビュー)
     ↓
 「(二重国籍について)噂が流布されるのは正直悲しい。生まれたときから日本人です。(台湾の)籍抜いています」(3日、読売テレビ)
     ↓
 「(台湾籍を除籍した時期について)確認が取れない。私は台湾籍放棄の手続きをしたと思っている。父を信じて今に至っている」(6日、記者会見で)
     ↓
 「念のために台湾の代表処(大使館)に台湾籍放棄の届け出をした」(7日、記者団に)
     ↓
 「『一つの中国』論で言ったときに、二重国籍と(いう言葉を)メディアの方が使われることにびっくりしている」(11日、記者会見で)
     ↓
 「私の記憶の不確かな部分でご迷惑をおかけした」(13日、記者団に)


 蓮舫氏が当初から二重国籍の事実を認め、その籍を抜く手続きを速やかに進めていれば、大きな問題にはならなかったはずです。台湾人の父を持つ蓮舫氏がそのルーツを大切にすること自体は当然、尊重されてしかるべきですし、日本人の大半は蓮舫氏の国籍をもって差別しないでしょう。蓮舫氏が日本人であることを疑っている人は皆無だと思います。


 ですが、蓮舫氏は、「噂」とか「籍抜いています」と事実関係を否定。問題が大きくなると、「籍を放棄したとずっと認識していた」などと「過失論」を展開するようになりました。


 蓮舫氏は、政治家になる前、様々なメディアで「自分の国籍は台湾」「私は二重国籍なんです」「自分の中で”これだ”と言えるものは中国人であるアイデンティティー」と発言しています。少なくとも、その時点で、二重国籍を自覚していたであろうことは容易に推定されます。蓮舫氏は「雑誌、新聞の編集権は私にはありません。私としては、台湾の籍を持っていたのは過去のことである、という前提で話をさせていただきました と釈明しましたが、責任転嫁でしかありません。メディアに身を置いた者としては不愉快極まる発言です。


 国籍というアイデンティティーは、人格形成にも関わる大変、大切な問題のはずです。蓮舫氏が二重国籍を続けてきたことに悪気があったとは思いませんが、「過失」ではなく、「故意」だと考えるのが自然です。なのに、その場しのぎの場当たり的な説明で、政治家としての信頼性を一気に失ってしまいました。


 いったん初動を間違えると、取り返しがつかなくなってしまう。諺で言えば、「覆水盆に返らず」。他山の石としたいと思います。