6日は、桜ケ丘自治会の年次総会に参加したほか、横断歩道等の再舗装に関する陳情・要望対応でした。
 
 さて、憲法記念日に合わせる形で、憲法改正に関する世論調査がマスコミ各社で行われていたので、拙文を認めてみました。一言で言えば「世論調査は聞き方によって結果が変わるが、中立的とみられる調査結果をみると、憲法改正の賛否は拮抗している。真摯に議論すべきだ」という内容です。大変長くなってしまったので、ご関心がある方は、お読みくださいませ。
 
 
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 GW中に憲法記念日を迎えました。今夏の参院選の結果によっては憲法改正が現実味を帯びるなか、メディア各社が熱心に論陣をはっています。国民的な議論が行われるのは大変良いことです。

 

ただ、同時に行われている世論調査では、首をかしげざるを得ない「手法」もあります。世論調査の結果は設問の仕方、表現、並べ方によって変わってくると言われます。なかには、自社の論調に合う結果が導き出されるように「誘導質問」するケースもあります。

 

民意を正しくつかむためには、1社の調査結果を見るだけで満足することなく、各社の結果を並べて多角的に分析しなければなりません。各社の調査結果をまとめてみた結果、私は「憲法改正の賛否はほぼ拮抗している」というのが実態だろうとの結論に達しました。

 

 憲法改正の賛否に関して世論調査の結果をそれぞれ見てみます。

 

<共同通信の調査 電話で4月2930日実施>

Q安倍晋三首相の下での憲法改正に…

A「賛成」33.4%、「反対」56.5%

 

 共同通信の調査は、「安倍首相の下での…」という前提条件を付した異例な質問方法となっています。改憲反対派の共同通信社は、《憲法改正には賛成だがまだ早いと考える層や、安倍首相自体に批判的な層》を「反対派」にカウントできる聞き方とすることで、「賛成派」の割合を減らして「反対派」を増やしたい思惑があるとみられます。あえてバイアスをかけた恣意的な調査なので、信用性は高くないと考えます。

 

なお、共同通信は1年前の調査では、憲法改正の賛否を素直にたずねており、その結果は「賛成」が46.7%で、「反対」(42.3%)を若干上回っていました。聞き方が違うので、前年調査との比較は当然できません。

 

<朝日新聞の調査 郵送で3月16~4月25日実施>

Qいまの憲法を変える必要があるか、ないか

A「変える必要がある」37%、「変える必要はない」55%

Q安倍政権のもとで憲法改正を実現することに

A「賛成」25%、「反対」58%

 

朝日新聞は、①一般的な聞き方②「安倍政権のもと」という前提条件-の2種類で調査しています。「安倍政権のもと」と聞いた場合には、憲法改正「賛成」が25%にとどまる一方、一般的な聞き方では、「変える必要がある」が37%となりました。いずれにしても、この調査では改憲反対派が過半数に達し、賛成派を大きく上回っています。

 

 ただ、朝日新聞の調査にも、一定のバイアスがかかっていると考えられます。約50問という膨大な質問で、詳細な分析を試みているのは良いのですが、「憲法改正」の質問をする前に、憲法9条の改憲、集団的自衛権の行使、自衛隊の国防軍化の是非、立憲主義の考え方などを問い、直前の設問で「いまの憲法は良い憲法だと思いますか」と尋ねています。

 

つまり、質問の表現自体は中立的なのですが、憲法改正の賛否を回答する前に、「反対派」が増えるような質問を並べているように見受けられます。この手の調査では、憲法改正についての賛否をまず質問し、その後に関連の細かい話を尋ねるのが一般的です。

 

<産経・FNN合同の調査 電話で42324日実施>

Q憲法改正に賛成か、反対か

A「賛成」45.5%、「反対」45.5%

 

<毎日新聞の調査 電話で4月1617日実施>

Q憲法を改正すべきだと思うか、思わないか

A「思う」42%、「思わない」42

 

<NHKの調査 電話で4月15~17日実施>

Q今の憲法を改正する必要があると思うか

A「必要がある」27%、「必要がない」31%、「どちらともいえない」38%

 

 シンプルで中立的な聞き方をしているのは、①産経新聞・FNN合同②毎日新聞③NHK‐の各世論調査です。これらの調査は素直に質問しており、バイアスはほとんどかかっていないとみられますが、それぞれ、憲法改正への賛否が拮抗する結果となりました。世論を正確につかむには、この3社の調査の方が参考になると考えます。なお、NHKは3択方式で尋ねており、「どちらともいえない」が4割近くを占めています。判断を決めかねているか、関心がない層が最も多いということになります。

 

 さて、憲法改正を進めるためには、①衆参両院の総議員の3分の2以上の賛成を得て発議②国民投票による過半数の賛成―の2つの条件をクリアしなければなりません。発議が行われても最終的には、国民の直接的な意思表示に委ねられるので、世論の動向を見極めることは極めて大切です。

 

経年的に調べているNHKの調査結果によれば、憲法改正反対派は増加傾向にあります。ただ、集団的自衛権をめぐって安保論議が花盛りになるまえの平成25年調査では、「必要ある」が「必要ない」を大幅に上回っていました。

 

 

 

これらを踏まえると、憲法改正の賛成派を増やすためには、憲法論議だけではなく、安保法制をめぐって生じた「誤解」(集団的自衛権の行使容認は危険云々…)や「レッテル貼り」を解くことも大切だと考えます。安保法制は時が経てば理解が進むと思いますが、それでは憲法改正には間に合わないかもしれません。

 

憲法改正が今夏の参院選の争点になるかどうかは私には分かりませんが、逃げることなく正々堂々と議論すべきですし、積極的に世論を喚起すべきだと考えます。決めるのは国会議員ではなく、最終的には国民一人一人の意思なのですから。