11日は全国の多くの自治体で成人式が行われていました。新成人の皆様、おめでとうございます。


 さて、大和市ではありませんが、千葉県浦安市の松崎秀樹市長が式典で「出産適齢期は18歳から26歳を指すそうだ。人口減少のままで今の日本の社会、地域社会は成り立たない。若い皆さん方に大いに期待したい」と発言したことがNHKなどで報じられています。


 ここで規定される出産適齢期は、一般的に理解される幅よりは狭いような気はしますが、それはともかく、政治家が出産適齢期について発言すること自体が物議を醸しているって、いかがなものでしょうか。「報道ステーション」のコメントも、相変わらずズレてるなぁ…と思います。


【NHK】http://www3.nhk.or.jp/ne…/html/20160111/k10010367481000.html
【毎日新聞】http://mainichi.jp/articles/20160112/k00/00m/040/037000c
【日経新聞】http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG11H3X_R10C16A1000000/


●同日のテレビ朝日「報道ステーション」から抜粋メモ起こし(文責・小田)
・中島岳志北海道大准教授
「私が思うのは、保育サービス充実についての少子化対策は重要だと思うが、やはり、子を産む政策が大きなプレッシャーになる人たちがいるということをちゃんと念頭に置いた政策をしないといけない。人口政策は同時に、たとえば渋谷区が同性パートナーシップ証明書を出す政策をやったが、こういう政策と同時にやらないといけない。さらに、年齢に関わりなく不妊治療を受けたい人に対しては、公的なサポートをする。こういう政策とセットにしてやらないといけない。注意をしないといけない。そういう問題だ」


・古舘伊知郎キャスター
「『この年齢の方は産んでください』と言う前に、『産みたいな』って多くの人が思うような空気の流れている世界を政治が作らないといけないわけだし、本当に『皆さん方』と呼びかけるのだったら、まず次世代にツケを後回しし過ぎている。財政のことの拠り所もあまり言わないで、どんどん政策だけが先行する。こういう国の政治に関しても、言っていくのが政治家でなければいけないわけだし、ちょっとおかしな感じがする。年齢を区切って言うなんてね」



 中島氏が言う不妊治療のサポートは大切だと思いますが、同性パートナーシップ証明書は少なくとも少子化対策には逆行するでしょう。また、古舘氏が言う「産みたいと思う世界を政治が作らないといけない」「次世代にツケを後回しし過ぎ」はその通りだと思いますが、政治家が出産適齢期について言及すること自体がおかしいとはなりません。「財政の拠り所も言わないで、どんどん政策だけが先行する」という批判は、松崎市長の発言と何の関連性もなく、意味不明です。


 なお、日本産科婦人科学会などは昨年3月、妊娠や出産の適齢期を教育するよう政府に要望書を出しています。

【産経新聞】http://www.sankei.com/life/news/150302/lif1503020051-n1.html
【要望書】http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20150302_youbousyo.pdf