一日遅くなりますが、東京高裁で厚木基地騒音訴訟の控訴審判決が30日、出ました。理解するのが難しい内容だと思います。


 報道されている判決要旨などを読む限り、ざっくりと簡単にいえば、「住民の睡眠妨害は深刻だ。騒音問題の主な原因は米軍空母艦載機だが、米国に『やめろ』と求める権限はない。だから、海上自衛隊機は夜間・早朝の飛行を、緊急の場合を除いて原則的に止めろ。ただ、米軍機は2017年ごろまでに山口県の岩国基地に移駐され、厚木からいなくなる。騒音の状況が変わるから、自衛隊機の騒音差し止めは2016年末までとする」という趣旨だと思います。

 マンガ『ドラえもん』にたとえれば、「ジャイアンがうるさいけど、ジャイアンには何も言えない。だから、せめて一緒にいるスネ夫は黙ってろ。そうすれば、ちょっとは静かになる。だけど、いずれジャイアンは引っ越して静かになるから、そのころからは、スネ夫は元通りにしていい」といった感じです。


 海自機の騒音被害を甚大だと認めるのであれば、米軍機が厚木からいなくなった後も、夜間早朝の飛行差し止めを継続しなければなりませんが、判決内容はそうなっていません。海上自衛隊は米軍の「身代わり」だと理解すればよいのでしょうか…。

 私は今春の選挙戦で、大和市にとって大きな課題である厚木基地問題に関して「騒音の主な原因となっている米軍空母艦載機の早期移駐を求めていく。一方で、自衛隊は国防上必要であり、自衛隊と共生する街づくりが必要だ」と訴えました。


 厚木基地は住宅密集地にありますから、「危険性の除去」といった沖縄県の普天間飛行場と同じ問題も抱えています。既定路線ではありますが、米軍空母艦載機の岩国移駐が先送りされることがないようしっかりと求めていかなければなりません。


 その一方、自衛隊は日ごろの国防だけでなく、人命救助の役割も担っています。ヨットに乗っていたコメンテーターの辛坊治郎さんが2年前、太平洋で遭難した際に救助したのは、厚木基地から出発した救難飛行艇「US2」でした。海上保安庁では対応できないため、海自が人命救助にあたったわけです。


 国防や救助活動のためには、一定の訓練も必要です。きちんと訓練していなければ、調布の飛行機墜落事故のような惨事を招いてしまうかもしれません。夜間訓練は必要ないというわけにはいかないと思います。


http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150730-OYT1T50209.html
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150730/k10010171751000.html
http://www.city.yamato.lg.jp/web/content/000009926.pdf