30日は、大和市の教育委員会7月定例会を一市民として傍聴しました。この日は、来春から使われる中学校教科書が採択されるとあって、60人を超す傍聴者が詰めかけました。
 
 大和市教委の教科書採択は、「予選」とも言える「大和市教科用図書採択検討委員会」(濱田嘉昭委員長)の報告書で1位から3位に選ばれた教科書の中から、5人の教育委員が協議して選ぶシステムです。教育委員会では、進行役の委員長を除く4人の委員が挙手し、過半数に達した教科書を採択します。過半数に達しない場合には、2票を保有する委員長も投票して採択します。


 結果を分析すると、今回採択された15科目のうち、13科目は教科書採択検討委員会が1位に選んだ教科書であり、検討委員会の報告をおおむね反映した結果でした。検討委が1位から3位に選んだ教科書しか協議対象とならないので、「予選を1位通過する」ことがカギを握ると言っても、過言ではありません。検討委は5月から7月にかけて3回開かれましたが、「静謐(せいひつ)な採択環境を保つ」との理由から「非公開」(事後に議事録を公開)となっています。


 今回の教科書採択では、多数決で過半数に達しなかったケースが4回あり、いずれも委員長が投票した教科書が選ばれました。委員長の権限も大きいと言えます。


 現行教科書と比較すると、地理(東京書籍←帝国書院)、数学(日本文教←学校図書)、美術(光村図書←開隆堂)、英語(三省堂←開隆堂)の計4科目の教科書が来春から変わります。中でも、「英会話を重視する」ということで現在使用されている開隆堂の教科書(「Sunshine」)が変わり、大和市で長年使われてきた三省堂(「NEW CROWN」)が復活します。


 今回の教科書採択に関する「調査研究員の報告概要」を見ると、国語や音楽、技術、英語で教育基本法や学校教育法、学習指導要領との関連性を意識した記述があります。一方、社会(地理、歴史、公民、地図)で、そのような記述が見当たりません。私としては、教科書採択で最重要とされている社会の教科書こそ、教育基本法や学習指導要領がどう反映されているか分かるよう、報告書で明示しておくべきだと考えます。


 余談ですが、教育委員会でいったん傍聴者に配布された資料は、議事の次第以外は回収されました。HP(http://www.city.yamato.lg.jp/web/content/000105293.pdf )にも資料の概要はアップされていますが、肝心の資料(今回の場合は、検討委の報告書など)は情報公開コーナーでわざわざコピーしなければなりません。現行の傍聴システムは、大変不便です。


 前職時代の経験からすると、大変遅れていると感じる(こんな不便な傍聴制度は経験がありません)ので、今後、改善を求めていきたいと思います。