5日のブログ(「大和市は集団的自衛権に反対??」)でも記した大和市や大和市教育委員会の後援名義の問題について調べていると、他にもいろんな問題点が浮かび上がってきます。


 市と市教委が後援する「憲法九条やまとの会」の13日のイベントでは、集団的自衛権反対派の論客である柳澤協二元内閣官房副長官補が集団的自衛権の問題について「トーク」するほか、アイドルグループ「制服向上委員会」も「うた」で出演する予定になっています。私は当初、制服向上委員会について「AKBや乃木坂の影に隠れて、今は聞かなくなった懐かしい名前だなぁ」ぐらいにしか思いませんでした。ですが、今は単なる清楚なアイドルではなく、政治的な色合いを濃くしているようです。


 たとえば…
○公式ホームページによると、2014年1月23日付で東京都知事選に関する「私たちの考えたマニフェスト」を発表し、2番目の項目で「東京の米軍基地を国外へ」と掲げています。

○2013年7月26日付の「しんぶん赤旗」(共産党の機関紙です)では、制服向上委員会の会長・橋本美香さんが「昨日の参院選。予想していた結果でした。今回私ははじめて共産党に入れました」とフェイスブックで記したことを、紹介しています。

○民間の新聞・雑誌記事検索サービスで、再結成された2010年9月20日以降の制服向上委員会を検索(2015年6月10日時点)すると、最も多く登場した〝メディア〟は、「しんぶん赤旗」(計33件)です。ちなみに、2番目は朝日新聞と東京新聞が21件で並びます。

○「橋本美香&制服向上委員会」がリリースしたアルバム「3あくついほう!」のジャケットでは、「自民党、公明党、民主党」「原発、基地、増税」「東電、NHK、パナソニック」「資本主義、侵略、戦争」…などが掲げられています。これらは追放すべき3悪であるとのメッセージが読み取れます。なお、このアルバムには「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」「脱原発を目指して」「原発さえなければ」という曲が入っています。

○「悪魔 NOだっ! 民主党」で野田佳彦首相(当時)を、「TVにさようなら」で地デジ移行を、「ケッケッケッケこうのすけ」で松下政経塾を、「おじいさんと同じ」で安倍晋三首相をそれぞれ激烈に批判しています。

○橋本美香さんは、2013年11月の、特定秘密保護法案(当時)に反対する記者会見にも出席しています。


 くどいですが、日本は民主主義国家ですから、制服向上委員会がどんな活動をしようと、何をどう批判しようと自由です。多様性は大切だと思いますし、活動自体をどうこう言うつもりはありません。


ただ、制服向上委員会は「社会派アイドル」というよりも、特定の政治運動、もっと言えば反体制運動をしている「反体制アイドル」と見受けられます。少なくとも、私はその過激さについていけません。そのイベントを、政治的中立性を守るべき行政機関である市や市教委が後援するのは、理解不能です。



「大和市の後援名義に関する要領」(http://www.city.yamato.lg.jp/web/hisyo/kouennmeigi.html 、以下「要領」と呼ぶ)の第2条2(1)では、後援の対象となる事業について「特定の政党、宗教、その他の政治的団体及び宗教的な団体を支持またはそれらの活動に関係するものではないこと」としています。仮にこのイベントが「特定の政党、政治的団体を支持していない」としても、「それらの活動に関係するものではない」に抵触する可能性はないのでしょうか。第2条(2)では「事業等の目的が産業、経済、土木、厚生、消防等の振興及び教育、芸術、科学、文化等の発展に寄与するものであること」となっていますが、13日のイベントはどれに該当するのでしょうか。「等」に含まれているのでしょうか。


「要領」の第2条2(4)では「原則的には入場料が無料であること。ただし、会費程度の徴収で、利益が生じない場合はこの限りでない」とありますが、このイベントの参加費は「前売800円当日1000円 学生・障碍の方500円」(ママ)です。これは「会費程度の徴収で利益が生じない」と認められれば違反にはなりませんので、目くじらを立てるほどのことではないかもしれませんが、利益を上げていないことは確認しておく必要があります。



 仮に、13日のイベントが現在の「要領」に違反しないのであれば、「要領」を改正する必要があるのではないでしょうか。この後援名義問題は調べれば調べるほど、闇が深いと思います。