賞レース!ぬか喜びに注意! | やる気マンマン男・清水宏のブログ~炎の演劇部部長が行く!!
「賞ってやつは」
俺の公演は土曜日で終わりだが、フェス全体は次の日が千秋楽。
終わってから打上げ、そしてその前に各賞の発表と表彰式だ。
前にフロリダのオーランド・フリンジの夜に懲りているので、
もう変な糠喜びはしない。
いきなりやってきて、1年目で賞なんか取れたら誰も苦労なんかしない。
俺だってそう思っていた。いたんだよ確かに。
でもね、いやあの、人のせいにする訳じゃないんだよ、ないんだけどさ、
夜授賞式やってる途中でさ、同じ日本人パフォーマーのヤノミさんがさ、
「清水さん何か取りますよー!わたし予感がする。わたしの予感よく当たるんです」
なんて言うから俺もだんだんその気になってきちゃって、
チケットの売り上げの発表のあと、批評家が選ぶベストパフォーマー賞に選ばれるかな、それがだめでも「特別賞」とか「初参加の割りに、よくやったで賞」みたいな賞取れるかなと、まるで阿佐ヶ谷商店街七夕祭りの飾り付けにくまなく当たるよう涙ぐましいまでにされた工夫の産物である「誰にでも何か賞をあげま賞」的なものがあるだろうという甘い期待にだんだんとらわれていった。
その結果、俺の名前は呼ばれず、なにか寂しい、というよりもヒモジイ思いにかられたのだった。
なので俺はもう賞などに期待するのはやめよう。
だってそれが目的じゃないのだから、そうでなくったってオイラは一生懸命やるのだから、と考えるに至った。
だってあのぬか喜びが裏切られたときに落差のあるガッカリ感といったら、それはそれはボディー-に効いてきますから。
そういう知恵をオジさんは学んだ訳です。
それで今回のカナダ・オタワ・フリンジですよ。
そりゃオーランドよりもっと評判いいし、何より人々の間に浸透してましたよ
でもさあ、俺だって学んでますからね。
急にやってきて1年目の「ポッと出」に賞なんか出ませんよ。
そう思っていたんです。
でもね、会場の熱気と、あとボランティアの人たちが口々に
「ヒロシが取るよ、私には分かる。私の勘は当たるんだ」
とどこかで聞いたようなこというんです。
それでだんだん式が進行していって、
司会の人が
「さて今からフリンジ・オブ・スピリッツ賞の発表だよ!」
なんて言って、このフリンジスピリッツってのは「こいつこそフリンジ精神だ!」
って言うパフォーマーを声なき声が選ぶ、みたいなものなんだけど、
まだその時点で俺は「まあまあ、そんなそんな」て思ってたのよ。
まだ保険効いてたんだよ。落ち込む前の「期待しない保険」が。
そしたらそのときさ、
前の席に座っていた件のマーティンとヴァネッサの夫婦が
「絶対にヒロシだよ!ヒロシしかいないよ!俺たちの勘は当たるんだ」
っていうんだよ。
俺が尊敬する、そしてひそかにライバル視する、あのマーティンがいうんだよ。
どっかで聞いたようなことだけど、もうこりゃその気になるでしょ。
もういよいよ名前を発表します!ってときにはすっかりその気満々ですよ。
もう受賞したあとのリアクションとか、頼まれもしないのに結構な長さのスピーチとか、頭の中でリハーサルですよ。
「まずはサンキュー!サンキュー、エブリバディー!
まさか取れるとは思っていなかったからビックリしたよ(本音は取れると思っていた)!
俺よりもっとふさわしい人もいるのに(ウソ、形だけの謙譲)。でも取ったからには信じられないくらいこれからも励んでいくよ。ありがとうフリンジ!ありがとうオタワ!」・・・ウーンもう少しギャグとか入れていった方がいいな、うむうむ…
今日は祝杯あげようぜ!なんてことになって周りが寝かしてくれないだろうな、
そわそわしてきた。
落ち着け落ち着けオレ。堂々としてりゃいいんだヒロシシミズ。
「さあ発表します、今年のスピリッツ・オブ・フリンジは…!」
よし、落ち着いた。いつでもこい!だ。
「ブライアン・トンプソン!」
あれえええ。。。。。。
ブライアン?、、トンプソ、、、、、ン?、、
ぬか喜び厳禁!
二度と!にどとするものかああ。