「かすかべ歩き」は、飲食店ばかりとは限らない。

〝居たくなる場所〟〝会えば落ち着く人がいる場所〟は、

素面の時だって、そこにあるから。

 

ダイビングを始めたのは、10年ほど前のこと。

友人に誘われて、何気なく始めてみたら、

いつの間にか、立派な趣味になっていた。

ダイビングにハマって行く上で、確実にポジティヴな

トリガーとなったのが、春日部にある、あるショップの存在。

 

30年の長い歴史を誇るダイビングショップ「SeaDs(シーズ)」は、

なぜか、海とは縁遠いかすかべの地にある。

仕事場に近いので、ダイビングを始めてから、入ってみた。

本当に、「ただ近かったから」。ダイビングの道具でも見るつもりで。

 

それから数年、ここはすっかり、自分にとっての

「落ち着く場所」の一つになっている。

チーフを筆頭にマユちゃん、モヤっキーと、

三人のインストラクターがいて、

お店ではいつも誰かしらとコーヒーを飲みながら、

時間を忘れるくらい楽しく「海の話」ができる。

そして、この店の主力商品は、何と言っても「ダイビングツアー」だ。

 

ツアーでの三人は、本当に頼もしく、親切で、楽しい。

明るく丁寧に海を案内してくれる。

そんな三人の人柄に惚れ込んで、ツアーに参加している人は多い。

ダイビングツアーというと一見、馴染みのない人には

ハードルの高いものに思えるかもしれないが、

このショップのツアーは一味違う。

早朝にお店に集合して、そこからバスの中で居眠りしている間に海に到着。

それからは、しっかり海を楽しんじゃえば良いだけで、

帰りは道中で、美味しい海の幸などを食べながら、ビールをグビッと。

またまた、バス内でウトウトしながら、気がつけば、春日部到着だ。

〝海無し県・埼玉〟の、さらに海とは縁遠い春日部で発着の

「海の〝どこでもドア〟」気分なダイビングツアー。

 

このところ仕事が忙しくて、ツアーには参加できていないが、

スタッフと話して「海の気分」を味わいたくて、

気が付けばフラッと足が向いている。

自分にとってはここも間違いなく、大切な場所の一つだ。

 

 

SeaDs(シーズ)

春日部市中央1-59-8

048-734-5672 水曜定休

もう、30年も前になるんだな、と、改めて驚く。

大学卒業の年、高校・大学の同級生と三人で、卒業旅行に出かけた。

行き先は、ずっと憧れていたアメリカ。

時間だけはたっぷりあったから、あちらこちらを回った。

ニューヨーク、ワシントン、マイアミ、サンフランシスコ、ハワイ……。

 

同じ時期にアメリカを回っていた

同級生の卒業旅行グループと合流して大騒ぎしたり、

とにかく度胸オンリーの壊滅英語で現地人に話しかけてみたり、

大好きだったR&Bシンガーのライブを小さな小屋で聴いて涙したり、

昼間から国立公園で大酒を飲んだり、歌ったり、

慣れない左ハンドルを駆って長いビーチラインを走ったり……。

 

とにかく、いつも三人で笑っていた1ヶ月だったが

……気がつけば、財布の中身は寂しくなっていた。

序盤で回った大都市で、いいものを食べ過ぎた? いい酒を飲み過ぎた?

旅の締めは、ハワイでの一週間ステイだったが、

旅の序盤のような楽しみ方はできなくなっていた。

ほぼ3食が、チェーンのハンバーガーショップというお粗末ぶり。

 

でも、その時に毎日食べた「バーガーキング」のハンバーガーは、

なぜかいつまでも、飽きることがなかった。

金の使い方を知らない間抜けな三人組にとって、忘れられない味。

店内で綺麗な金髪の女の子を横目で眺めながら、

夕方の砂浜で三人横座りしながら、ボーッと海を見つめながら、

派手なアメ車のレンタカーの中に匂いを充満させながら、

食べたバーガーの味は、今でも「キング」だ。

 

そんな「バーガーキング」が、9月末日、新しく春日部にオープンした。

場所は、駅西口。地元の人なら

「眼鏡の幸松屋があったとこ」

で通じるかもしれない。

さっそくオープン直後、行列が短くなっている時間帯を狙って行ってみた。

アプリの割引クーポンを使って、セットを注文。

少し焦ってパクつくと……うん、これだな。

なんてことはないんだけど、なんとも懐かしい味。

 

一緒に旅したあいつらに、少しだけ会いたくなった。

 

 

バーガーキング春日部駅前店

春日部市中央1丁目2−1

048-812-5539

大学2年生のとき、父に連れて行かれた

渡良瀬川の川っ辺りにあるコースでの早朝ゴルフ。

いま思えば、あれが、ゴルフとの出会いだった。

スコアがどうだったかは覚えていない。たぶん、散々だったんだろう。

でも、若者のスポーツではない! と思っていたのが、

少し意識が変わったのは確かでした。

グリーンに向かって伸びていくフェアウエイと、

芝の緑の清々しさ。

吹く風はときどき心地よく、ときどき忌々しく。

 

それからもう、30年以上の時間が経ったが、

ゴルフはいまだに、自分の「日常」の中にある。

そこで出会う人たちは、「仲間」だったり、「ライバル」だったり、

そしてその時々で「師匠」だったり。

時を経て、関係性がいろいろ変わっていくのが、また面白くて。

 

プレー後や、仲間とゴルフの話がしたくなったときに、

足が向いてしまうのは、春日部の焼肉・韓国料理店「両斑(ヤンバン)」。

ここの社長のワタナベさんは、このところの自分にとっての「ゴルフの師匠」。

ワタナベさんの、韓国出身の奥さんがママさんで、

そのママさんのお姉さんが調理担当。

出てくる料理は、みんな本格的な韓国料理だ。

旨味の強い辛さが後を引くスンドゥブも、

牛骨の深みあるダシが効いているコムタンクッパも、

具材のバランスが絶妙で、気がつくと酒が進んでいるチャプチェも、

辛味噌を効かせた豚の三枚肉や、極上ハラミなどの焼肉も、

まるで、韓国の友人宅で御馳走になっているような、

じんわりと沁みてくる、家庭的で、でも一般家庭では中々出せない味。

 

「ヒジの使い方が甘いんだよ」「力、入りすぎなんだ」

「若さに任せちゃってるねぇ……」

今宵もワタナベさんと、先日ご一緒したゴルフの反省会。

師匠の言葉は、この店のキムチばりに辛いが、旨味もたっぷり。

また進みます。ハイボールが。

 

 

※追記

2019年9月、ヤンバンのオーナー・渡邊良一さんが、

ご病気により急逝されました。

謹んで、ご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

両斑(ヤンバン)

埼玉県春日部市中央1-7−5

春日部西口より、徒歩3分

048-754-5529