映画「プリティ・ウーマン」では、リチャード・ギア演じるビジネスマンが、ジュリア・ロバーツ演じる娼婦と出会い、彼女を変身させた。
実際の世界にも、そういうことはあるかもしれないが、俺には、そこまでの気合いはない。
とは言っても、たとえ相手が外国人娼婦であれ、出会った人間には幸せになって欲しいと思うのが俺の心情、なんとかフィオーナには幸せになって欲しい。
幸せというと月並な表現だが、要するに、まともな生活を営む、ということ。
金銭的援助が一番手っ取り早いのだろうが、そんなことはするつもりはないし、そもそもそれは、本当の意味でのまともな生活には結びつかない。
俺がフィオーナの立場だったら、どうするのか?
やはり、地道に一歩一歩、進むしかないのだと思う。
不幸な境遇を抱え、そこから抜け出せないでいる人達は、とかく楽して大金を稼ぎたがるが、そうでない人達だって、そんな簡単に安定した生活を手に入れている訳ではない、
相当の努力をして、汗水流して頑張っているのだ、
さらに、楽して大金を稼ぐ手段は、時には人をさらに不幸にさせることは、古今東西の様々な物語が、証明している、
結局は、後方からのスタートかもしれないが、地道に一歩一歩、進むしかないんだよ、
そんなことを偉そうに話しながら、シェンヤンでの2泊を終え、俺たちは北京に向かったが、
「スタート地点に立てるかどうかが問題なんだよ」と彼女は思っていたのかもしれないな。
20年前に俺が中国を旅した時ならば、列車で20時間はかかったと思われる距離だが、今の中国の列車は立派な列車で、なんと、シェンヤン・北京間は、4時間ほどの近い距離だった。