フィオーナは、現在は叔母さんの家に身を寄せているが、最近までは、シェンヤンの町の中心地のマンションに住んでいたという。
中東に出稼ぎに出ていた時も家賃を払い続けていたが、帰国後、いよいよ資金繰りがきつくなり、解約したというのだ。
二人で中心街を歩いていた時に、あそこだよと教えてくれた。
驚いたことに、その場所は、日本で言えば銀座から徒歩5分ぐらいの一等地、
家賃が高かっただろうと質問すると、高かったけど、中心地に近く、買い物や交通の移動にとても便利な場所だったという。
そりゃそうだ。
俺が言いたかったことはそんなことじゃない、
どうして、売春をするほどまで金に困っていたのに、そんな所に住んでいたのかっていうことだ。
さらに驚いたことに、彼女は、シェンヤンの町のど真ん中のスポーツクラブに通っている。
想像してほしい、大都会の中心地にあるスポーツクラブの会費を。
もちろん、彼女の身なりは悪くはない。
シェンヤンと言うか中国は、貧富の差が激しく、言っちゃ悪いが、貧しい身なりの人から、いかにも金持ち風の人まで、色んな身なりの人がいる。
その中でも彼女はいい方だ、カラダを売るほどまでに金に困ってるくせに、だ。
シェンヤンに来てみて、彼女に会ってみて、一つだけ分かったことがある、
それは、彼女を売春に駆り立てたのは、実は、中国近代化の光とか闇とか、そんな大袈裟な理由じゃないということ、
極めて、個人的事情かつ、彼女の浪費癖に起因するものだったということだ。
家庭環境の不幸はあるが、実は、典型的な風俗嬢の思考回路だったということ。
さて、リチャード・ギアならどうするか?