シェンヤン2 | hitorigoto 4

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思ったことをただ書くだけです。


フィオーナのの父親は、彼女が幼少の頃に、アメリカに出稼ぎ労働者として働きに行き、最初のうちは生活費を送金してくれていたものの、しばらくたつとギャンブルに狂いだし、全く金を送ってくれなくなり、最後は、妻と離婚したという。


妻、つまりフィオーナの母親だが、町の食堂経営でそれなりにお金は蓄え、一人っ子の彼女には何でも買って与えてくれたらしいが、フィオーナが高校生の頃に、旦那を追うように、アメリカに渡ったという。


しかし、商才には優れていたのか、母親はそれなりにお金を貯め、別れた旦那に代わって、フィオーナには不自由させないお金を定期的に送金してくれていたらしい。


彼女が数年前に、クアラルンプールの英語学校に留学出来たのも、母親のお陰だ。


父親は家庭から去り、母親はアメリカに渡った状態ながら、フィオーナが何とか一人で生きてこれたのも、全ては、この母親頼みだった。


ところが。


母親は元来からお人よしの性格らしく、姉妹親戚にせがまれると、すぐにお金を貸してしまい、相手は中国の東北地方の貧しい連中、当然、貸した金は返ってこない。


結局、母親もまた、フィオーナにお金を送金出来なくなってしまったという。


親戚は皆、借りた金が返せないほどに貧しい連中だ、そして、フィオーナは一人っ子、


さらに驚いたことに、母親は、フィオーナが16歳の時にアメリカに渡ってから、今までに一度も中国に戻ってきていないという、なぜならば、ビザは他人名義で不正に取得したもので、そのビザさえもとっくに切れていて、いわば長年に渡って不法就労の状態であり、帰るに帰れない状態だと言うのだ。


フィオーナにとっても、金があるうちは、まだ良かったのだろう、


しかし、金がなくなり、頼る者は誰もいない孤独な彼女は、中東の地に売春婦として出稼ぎに出ることを決意する。


それが、1年前だ。