ビートルズのラジオ番組といえば The Beatles Lover No.5 ザ・ビートルズ・ラバー・ナンバー・ファイブ
人気ラジオ番組が、読んで楽しめるテキスト版になりました。
ディープなファン目線、そしてサウンドメーカー目線でビートルズへの愛💖と共に楽曲を紹介していく人気ラジオ番組「The Beatles Lover No.5」。
杉田裕(JAYWALK)とサミー小川(メディアプロデューサー)がナビゲートします。
496回【2026年9月26日〜10月2日】の放送は、アルバム『ラバー・ソウル』(Rubber Soul)の楽曲をご紹介します。
【サミー】まもなく、『ラバー・ソウル』のリミックス盤が発売になります。
【裕】今年は『ラバー・ソウル』で来ましたね(笑)。
【サミー】毎年、手を替え品を替え…(笑)。
【裕】いろんなパッケージがが出ますけど、サミーさんはどれを買うんですか?
【サミー】僕はCDのセット。豪華本付きのスペシャル・エディションというやつですね。
【裕】僕も同じのを注文しましたが、『ラバー・ソウル』は思い出のあるアルバムなので、それに加えてアナログ盤も買いました。アナログプレーヤー持ってないけど(笑)。この際、アナログプレイヤーを買っちゃおうかな(笑)。
【サミー】良いじゃないですか。でもね、アナログのステレオって、セッティングが難しいと聞いたことがありますけど、どうなんでしょうかね。凝り始めると大変なことになりそうな気がします(笑)。
【裕】それとも、レコード盤はサミーさんみたいに壁に飾ろうかな(笑)。
【サミー】それならピクチャーディスクが良いですよ。ただね、これまでのビートルズのピクチャーディスクはジャケットの絵柄そのものだったんですけど、『ラバー・ソウル』はちょっと違ったデザインになっているんです。
【裕】まあ、僕はデミックスの音に興味があるな、やっぱり。
【サミー】それぞれの楽しみ方がありそうですね。さて、今週ご紹介する曲は?
【裕】今週は1965年発売の『ラバー・ソウル』A面7曲目「ミッシェル」(Michelle)、B面1曲目「消えた恋」(What Goes On)をご紹介します。
【サミー】では担当する曲を「ビートルズじゃんけん」で決めましょう!「ビートルズじゃんけん」は、グーはジョン、チョキはポール、パーはジョージ、あいこの時はリンゴと言います。手の動きと口の動きを連動させるのが脳トレになりますよ!では、「最初はジョン」で始めるよ…。
オープニングテーマは杉田裕の「ビートルズなんて誰も知らない」
ビートルズらしさが溢れる名曲「ミッシェル」(Michelle)
【裕】A面最後の曲。大好きですね〜。10代の頃のポールがフランス語の響きに魅力を感じて、それっぽい曲を作ってみたとされています。友達のアイヴァン・ヴォーンの奥さんでフランス語の先生をしていたジャンからフランス語のアドバイスをもらっています。ジョンは良い曲だからもっと発展させたら、と言って完成させたということです。
【サミー】そうですね。
【裕】この曲は、メチャクチャ大人っぽいんですよ。イントロのギターはガットギター?
【サミー】アコースティックギターですね。
【裕】ギターの優しい響きも良いし、ジョージのトーンを絞ったギターの音色も良いし、ポールのベースもよく動いている。あと、ドラムスが入っているんだけど、リンゴがしっかりビートを刻んでいる。すべてが良くできたアレンジに仕上がっています。
【サミー】確かに。
【裕】あと、三人がバックコーラスでずっと歌っていて、それがポールの歌を優しく包み込むような温かい曲に仕上がっています。
【サミー】この曲はビートルズにとって、特にジョンとポールの共作について考える上で重要な曲です。また、作曲にあたって影響を受けた曲は何か?というアプローチで見ていっても面白い。
【裕】なるほど。
【サミー】曲の構造ですが、4つの特徴があります。まずは、ポールが60年頃に作ったというAメロ。メジャーでジャズっぽくて、フレンチの雰囲気です。ポールはジョンの通っていたアート学校のパーティなどで、フランス人のふりをして、フランス語っぽく歌っていました。
【裕】ふむふむ。
【サミー】次に、65年頃、アルバムを制作するにあたってジョンがポールに「フランス語っぽいあの曲を仕上げよう」と提案してサビに関与します。特にサビ前半の「I love you, I love you~~」の部分は、当時聴いていたニーナ・シモンの「I Put a Spell on You」からインスピレーションを得たとジョンは語っています。これはマイナーで、ブルース調で、三連符、反復するという特徴があります。
【裕】この部分だけ、すごく情熱的だよね。
【サミー】3つ目の特徴は、サビ後半の部分。ここは、個人的にはジョンとポールが一緒に練り上げたのではないかと思ってます。メロディだけ聴くと同じ音が連続していてジョン風味なんだけど、ポール的クリシェが組み込まれてAメロへ復帰していく。このサビ後半の進行が、イントロに転用されていくわけですね。
【裕】そうだよね。
【サミー】4つ目は、間奏とエンディング。これはAメロの進行に、ジョージ・マーティンが考えたギターソロをのせています。
【裕】おー、そうなんだね。
【サミー】Aメロ6小節のコード進行は「F-Bb7#9-Eb6-Ddim7-C…」となっています。「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」で使ったジャズ・コード(X7#9)が出てくるんですね。ポールはこのコードを組み込んだと発言しているようです。Aメロがスタートして2番目のコードとして使っていることまで共通しています。そして「Ddim7」のところも特徴的ですよね。
【裕】ギターで音を変えていく部分だよね。
【サミー】これについてポールは、「The Coastersの 『Along Came Jones』経由で入ってきた」「このレコードから得た“naughty chord”を初期の『ミッシェル』に使った」と回想しています。
【裕】冒頭などに出てくる部分を言っているのかな。
【サミー】こうして見ていくと、いろんな曲の要素を組み込んで、ジョンとポールの共作として完成していったことがわかります。
【裕】ミュージシャンとしては理想的な曲の作り方だよね。いろんなエッセンスを頭にインプットして、それを消化して出している。
【サミー】それが、まさにビートルズなんですよね。ビートルズは突然生まれたのではなく、いろんな要素を吸収・消化して、自分のものとしてアウトプットしている。その典型が、この「ミッシェル」なんだろうね。
【裕】それでこの優しい曲を作ることがすごいよね。ジョンの「I Love You~~~」はパンチが効いているし、ポールの歌は切ないよね。

リンゴが歌うとどうしてこうなる?「消えた恋」(What Goes On)
【サミー】ジョンが59年頃に書いていた曲とされています。63年3月5日の「フロム・ミー・トゥ・ユー」セッションでも準備されていましたが、レコーディングには至っていません。それを、『ラバー・ソウル』制作の際に、リンゴ用に引っ張り出してきたということでしょう。リンゴは「単語5つくらい」作詞に貢献したと語っており、それが認められてレノン=マッカートニー=スターキーというクレジットになっています。
【裕】なるほど。
【サミー】米国では「ひとりぼっちのあいつ」のB面としてシングルになりました。米シングル「イエスタデイ」B面の「アクト・ナチュラリー」みたいな。
【裕】リンゴの曲って、どうしてカントリー調なんでしょうかね?
【サミー】そうなっちゃうんですよね(笑)。この曲、クレジットを見ずに聴くと、昔のカントリーのカバーみたいに聴こえないこともない(笑)。
【裕】一瞬、そう思ってしまう(笑)。
【サミー】63年の「フロム・ミー・トゥ・ユー」セッションでレコーディングされていたら、もうひとつの「アクト・ナチュラリー」になっていたでしょう。でも、65年に録音したおかげで、『ラバー・ソウル』の雰囲気を感じなくもない。そう思って聴くからかもしれないけど。
【裕】ジョージのギターが大活躍してるよね。
【サミー】チェット・アトキンス風のギターですよね。これはストラトキャスターなのかな?ジョンはAメロ低音部のリフをずっと弾いています。そして、ポールのベースは、ギターソロの後ろで好きなように弾きまくっている感じがする。
【裕】ほんと、自由自在に弾いているよね。でもやっぱり、リンゴの存在があって初めてビートルズが成り立つことがわかりますよね。ジョンの哲学的な部分、ポールのメロディアスなところ、ジョージの精神性、それにリンゴの人間味が加わる。
【サミー】そうすると、ビートルズになる。
【裕】そうなんだよね。
【サミー】ちなみに、この曲は夜11時にレコーディング開始しています。締め切り間際で、切羽詰まっていたことがわかります。1テイクで完了、ボーカルを追加して終了しています。そして、レコーディング完了後、リリースされなかった12小節のブルース進行の曲「12-Bar Original」を深夜に録音しています。これは『アンソロジー2』に収められていますが、なぜ夜中にこの曲を録音までしたのか?バンドをやってると、ブルース進行のジャムっぽいことをやりますよね。
【裕】やるやる。疲れてくると気晴らしにやったりする。
【サミー】でも、深夜に、音まで録ったのは何らかの狙いがあったと思うんです。曲が足りないから録っておこうとか?
【裕】そこまでには仕上がっていないし、不思議だよね。
今週の「ビートルズ・カバーズ」は「Michelle」
【裕】ビートルズ曲のユニークなカバーをご紹介する「ビートルズ・カバーズ」のコーナーです。
【サミー】今週は「Michelle」です。杉田裕さんのカバーで『MOSO THE BEATLES』に収録されています。
【裕】結構気に入っていて、アコーディオンっぽい音から始まって、タンゴ調というかラテン調というか、そんなカバーです。
【サミー】以前、この番組で「モーソー・ザ・ビートルズ」というコーナーをやっていた時にできたカバーですよね。どんな妄想でしたっけ?
【裕】覚えてないけど、いろんな国に行ってとか、誰かに会ってとか、そんな妄想を元に作ってましたよね。
【サミー】ハワイに行ったジョージが作った「アイ・ミー・マイン」とか(笑)。
【裕】この「Michelle」は藤田朋子さんが気に入ってくれていて、旦那さんの桑山哲也さんに聴かせたって言ってましたよ。
【サミー】桑山さんにアコーディオンを弾いてもらって、ライブで演るとカッコいいと思いますよ。
【裕】それ、良いかも!
エンディングテーマは杉田裕の「絶望してる暇はない」





