ビートルズのラジオ番組といえば The Beatles Lover No.5 ザ・ビートルズ・ラバー・ナンバー・ファイブ
人気ラジオ番組が、読んで楽しめるテキスト版になりました。
ディープなファン目線、そしてサウンドメーカー目線でビートルズへの愛💖と共に楽曲を紹介していく人気ラジオ番組「The Beatles Lover No.5」。
杉田裕(JAYWALK)とサミー小川(メディアプロデューサー)がナビゲートします。
482回【2026年6月20日〜26日】の放送は、アルバム『ビートルズ・フォー・セール』(Beatles For Sale)の楽曲をご紹介します。
【サミー】先日、プロ野球、神宮球場でヤクルト対西武戦を観に行きましたね。
【裕】ヤクルトファンのサミーさんと、西武ファンの広田寛治さんと行きました。広田さんはこの番組でもお馴染みの、ビートルズ関連の本をたくさん作っている方ですね。
【サミー】ホームチームの打者が打席に入る時にテーマ曲が流れるでしょ。選手が好きな曲を選んでいるのかな?さて、ここで質問です。杉田さんがプロ野球選手だとしたら、打席に入る時にどんなビートルズ曲を選びますか?
【裕】威勢の良い曲を選びたいですね。「ヘイ・ブルドッグ」はどうでしょうか。イントロがカッコいいじゃないですか。「よし、これでホームランだ!」って気分になります。
【サミー】不気味な登場の仕方で、相手をビビらせる効果もありそう(笑)。
【裕】サミーさんは?
【サミー】僕は「ヘルプ!」。
【裕】代打で登場するってこと?
【サミー】そういう訳でもないけど。曲のつかみが強いじゃないですか。
【裕】ヤクルトが負けている状態で出てくるとピッタリかも。
【サミー】ちなみに観戦した試合は延長12回引き分けという長い長い試合でした。さて、今週ご紹介する曲は?
【裕】今週はサードアルバム『ビートルズ・フォー・セール』のA面7曲目「カンサス・シティ:ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ!」(Kansas City:Hey-Hey-Hey-Hey!)、B面1曲目「エイト・デイズ・ア・ウィーク」(Eight Days A Week)をご紹介します。
【サミー】では担当する曲を「ビートルズじゃんけん」で決めましょう!「ビートルズじゃんけん」は、グーはジョン、チョキはポール、パーはジョージ、あいこの時はリンゴと言います。手の動きと口の動きを連動させるのが脳トレになりますよ!では、「最初はジョン」で始めるよ…。
オープニングテーマは杉田裕の「ビートルズなんて誰も知らない」
曲表記の変遷を追う!「カンサス・シティ/ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ!」(Kansas City:Hey-Hey-Hey-Hey!)
【裕】2曲のメドレー扱いなんですけど、同じような感じの曲だし、1曲として捉えても良いような。
【サミー】初めて聴いた時は1曲だと思いました。
【裕】この曲の成り立ちは少し複雑で、まず「K.C.ラヴィン」という曲があった。
【サミー】リトル・ウィーリー・リトルフィールドが1952年にリリースしています。作詞作曲はジェリー・リーバー(作詞)とマイク・ストーラー(作曲)。リトル・リチャードはそれに自作の「ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ!」のような後半部を付け加えてカバーした。ビートルズはリトル・リチャードのカバー・バージョンを完コピしたという経緯です。
【裕】2曲扱いで、7曲目、8曲目として表記されていた時代もあったとか。
【サミー】『ビートルズ・フォー・セール』リリース時には「カンサス・シティ」のみの表記だったものが、その後8曲目に「ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ!」を記載するように変わって、最終的にはメドレーとして扱われるようになりました。
【裕】旧い表記のアルバムを持っている人はいるんでしょうかねぇ?
【サミー】コレクターの皆さんにとっては、きっとお茶の子さいさいですよ(笑)。
【裕】著作権の問題から現在の形に落ち着いたとされていますけど、メドレー扱いになると印税も半分になっちゃうんですよ。
【サミー】えっ、そうなんだ。この曲で言えば、ジェリー・リーバー&マイク・ストーラーが半分、リトル・リチャード(ペニンマン名義)が半分もらっているってことだね。
【裕】そうそう。ちなみに「カンサス・シティ」はカンサス・シティを愛する気持ちを歌っていて、「ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ!」は「going back to birmingham」と歌っています。バーミンガムはアラバマ州の黒人音楽の重要拠点。ビートルズはアメリカ黒人音楽へのオマージュとしてカバーしたのかな。
【サミー】ちなみに、その後リーバー&ストーラーは、売れっ子作家に成長しました。代表曲に「スタンド・バイ・ミー」(ベン・E・キングとの共作)、「ハウンド・ドッグ」「監獄ロック」などがあります。

映画のテーマになった人気曲「エイト・デイズ・ア・ウィーク」(Eight Days A Week)
【サミー】ライブでは演奏されていないようなので、ビートルズ自身はそれほど気に入っていなかったのかな?ちなみに個人的には大好きな曲で、ポールが2013年のOUT THEREツアーでオープニング曲として演奏してくれた時、とても興奮した思い出があります。
【裕】なるほど。
【サミー】英国ではシングルにはなりませんでしたが、米国ではシングル発売され、チャート1位を獲得しています。米国では人気曲だったようです。
【裕】ノリ曲だし、良い曲だよね。
【サミー】米国で人気曲だったことで、映画「ザ・ビートルズ〜EIGHT DAYS A WEEK - The Touring Years」(2016年)のテーマになりました。
【裕】サミーさんが関与した映画ですね。
【サミー】この映画のことをざっくりお話しておきますね。2002年頃にプロジェクトのアイデアが、ナショナルジオグラフィックの映像部門にいたマシュー・ホワイトによって提案されました。2008年頃に米国に行った時にホワイトさんにお会いしたんですけど、そこで協力を打診されました。その時は話半分くらいに聞いていたんですけど、2012年頃にアップルから調査予算が付いたという連絡があって、日本でも調査を開始しました。2013年頃には警視庁にフィルム貸与交渉を始めました。警視庁からは2016年の映画公開の直前になって映像使用許諾が得られて、なんとか間に合ったんです。
【裕】ギリギリのタイミングだったんだね。
【サミー】締切の前日の夜に桜田門の警視庁ビルに行って、暗い廊下を歩いた先にある会議室でフィルムを受け取ったことを思い出します。お巡りさんというか刑事さんというか、そんな人に囲まれて誓約書にサインしました。
【裕】頑張ったんだね。
【サミー】曲の方は、フェードインが特徴的ですよね。
【裕】初めてらしいですよね。
【サミー】イントロは試行錯誤しているんです。『アンソロジー1』で「テイク1、2、4、5」が公開されていますけど、コーラスから始めています。フェードインはエンジニアのノーマン・スミスの提案だったとジェフ・エメリックは述べています。
【裕】そうだったんだ。
【サミー】面白いことに、米国盤はフェードインの度合いが少なめになっています。
【裕】僕はフェードインってあまり好きではないんです。もっとドンって入ったほうが良いんじゃないかって思うんですよね。
【サミー】コーラスから入るのもイマイチなので、彼らも悩んだんでしょうね。ちなみにアウトロでは12弦ギターが使われていますが、これは後から差し替えられたもののようです。
今週の「ビートルズ・カバーズ」
【裕】ビートルズ曲のユニークなカバーをご紹介する「ビートルズ・カバーズ」のコーナーです。
【サミー】今週は「Kansas City」と「Eight Days A Week」を聴いてみましょう。
【裕】どんなバージョンかな?
【サミー】「Kansas City」はリトル・ウィーリー・リトルフィールド(Little Willie Littlefield)によるオリジナルです。1952年にレコーディングされました。タイトルは「K.C.ラヴィング」(K.C. Loving)として発売されています。
【裕】ふむふむ。
【サミー】もうひとつはリトル・リチャード(Little Richard)によるバージョンで、ビートルズがカバーしたものです。リチャードが55年11月にレコーディング、リチャード自身(ペンネームはペニマン)による「Hey-Hey-Hey-Hey!」のような後半部分が加えられています。
【裕】ビートルズはこれが好きだったんだね。
【サミー】「Eight Days A Week」はアルマ・コーガン(Alma Cogan)。1932年ロンドン生まれの歌手で、一時、ジョンとの仲が噂されたこともありました。このバージョンは2コーラスバラードで歌った後、突然スイング・ジャズになります。
【裕】唐突な変化が面白い。
エンディングテーマは杉田裕の「絶望してる暇はない」





