オリンパス株を持っている個人投資家はどうすべきか? | スクランブル交差点

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 上場廃止の可能性が濃厚となったオリンパス(7733)だが、倒産や経営破たんではない企業での上場廃止という近年の事例では、粉飾決算で上場廃止となったライブドアや虚偽記載で上場廃止となった西武鉄道などが思い当たる。

■上場廃止となっても株価はゼロとはならない

 倒産や経営破たんの場合は株価は限りなくゼロに近づいていくが、そうではない場合、株価は必ずしもゼロにはならない。

 実際、ライブドアや西武のケースでは、上場廃止日でも株価がついていた。今回のオリンパスのケースでも同様となると思われる。

 ただ、ひとつ気になるのは、粉飾決算の規模がどの程度なのかである。あまりに大規模な損失隠しを行っていたのであれば、実態としては債務超過の可能性があり、その場合は、株価にとってもマイナスのインパクトがある。

 そこで、もしオリンパスが上場廃止となった場合、その後どのようなシナリオが考えられるであろうか。想定される3つのシナリオを考えてみた。

■シナリオ1:経営再建&再上場

 まずは、新経営陣のもと、ガバナンスを強化し、経営再建を図り、再上場するというシナリオである。

 今回のケースでは、オリンパスのブランド力は傷ついたものの、同社が有する技術力の高さが傷ついたわけではないため、新たな経営陣が同社を再建しうる可能性はあると考えられる。

 この場合、今のオリンパス株主は株式を保有し続けていれば、同社が再上場を果たした暁には再び株の売却が可能となるし、同社が成長すればするほどに株価は上がっていくので、株価が元の水準に少しでも近づくことも考えられる。

■シナリオ2:企業まるごと売却(ペンタックスの事例)

 次に考えられるのは、オリンパスが丸ごとどこかの企業に買収されるシナリオである。

 粉飾決算が相当以前からの引き継ぎ案件であったということを鑑みるに、現経営陣の総入れ替えは避けられない状況である。そうなった場合、次の世代が同社の経営を切り盛りしていくことができればよいが、経営手腕がおぼつかない場合は、他社に救済を求めることも考えられる。

 特に、今回の件でオリンパスのブランドが傷ついてしまったため、M&Aを機にブランドを一新することもあるだろう。ただし、オリンパスは大きく分けると医療事業とレンズを使用するカメラや顕微鏡の事業の2つを有しており、これらを両方とも欲しがる企業が存在するかどうかは微妙である。

 同じように二つの事業体を抱えていた類似企業としてペンタックスがあるが、同社はHOYA(7741)に買収された。しかし、その後カメラ事業はリコー(7752)に売却された。

 HOYAのように一旦丸呑みして、あとで本業と関連の薄い事業を売却するという二段階のM&Aをすることを厭わない企業が存在するかどうかが決め手となる。

 もし丸ごと売却ができた場合は、株主が保有する株式を買い取ってもらえることになるので、株主にとっては、再上場でもどちらでもよいということになる。

 ただ、売却の場合はおそらく再上場より早くそのタイミングがやってくると思われ、早期に現金を回収したい株主にとってはこちらの方がお好みかもしれない。

■シナリオ3:事業部ごとの切り売り

 最後に考えられるのは、事業部の切り売りである。

 ペンタックスのケースでも、一旦HOYAが買い受けたものの、カメラ事業部はリコーに売却した訳であり、出来上がりベースでは事業部の切り売りに近い。

 ただ、リコーがペンタックスのカメラ事業を買収した際、リコーの株価は下落しており、ペンタックスとオリンパスのカメラ事業を同列に比較するのは適切ではないとしても、カメラ事業部を欲しがる企業がどれほど存在するかはやや微妙かもしれない。

 事業部ごとに切り売りをしていった場合の株主へのインパクトは、ライブドアのシナリオに近いと想像される。

 オリンパスは事業売却で得た現金をひたすら株主に返していくというパターンだ。しかし、この場合、まずは金融機関への返済を先に行うため、株主に現金が戻ってくるタイミングは後になるだろう。

 事業部の切り売りの方が比較的買い手は見つかりやすいと思われるが、株主の手元に現金が戻ってくるタイミングが遠いというのが株主にとってはひとつのネックとなる。

■どのシナリオでも最終的には株式を売却できる

 今のオリンパスの状況で適切な株価を算出することは非常に困難だが、上の3つのどのシナリオでも、最終的には株主の保有する株式は何らかの形で現金化することが可能である。

 そのタイミングがいつになるかは分からないが。ライブドアの場合は、上場廃止後に同社株を投資ファンドが買い漁っていたこともある。

 従って、すぐに現金化をしたいというニーズが特にないのであれば、パニック売りに陥るよりは、どうせこれ以上損をしたところで知れていると高をくくり、このオリンパス狂想曲の最終章まで付き合ってみるというのも1つの選択肢なのかもしれない。

 もっとも、最終章まで付き合って受け取る現金と、今市場で売却して得られる現金のどちらが上かは分からないのであるが。

 なお、オリンパスの株主にとっては、損害賠償請求も重要なアクションプランになろう。西武鉄道のケースでは株主が損害賠償を起こして、比較的株主に有利な判断が最高裁で出され、現在高裁に差し戻しとなっている。こちらの動きも随時モニターしていくことが必要である。

■粉飾で上場廃止という現在の流れは妥当なのか

 また、今回の件、株主は無罪である。

 しかし、上場廃止となっては株主にとっては株式を売却する機会がほぼなくなってしまうため、ダブルパンチを被る。

 ライブドア、西武鉄道の際にも議論されたが、粉飾決算や虚偽記載で上場廃止とする現行ルールは果たして良いのかという点も再び議論をすべきと考える。

(文/保田隆明) *ザイ・オンラインに掲載