「リチウムイオン電池」~自動車用の拡大で2020年には5兆円市場へ | スクランブル交差点

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■10年後には4割が自動車向けに

 携帯電話やパソコンのバッテリーとして急速に普及したリチウムイオン電池。電気自動車(EV)やプラグイン・ハイブリッド(PHEV)車の動力源として、市場が急拡大している。加えて、日本では原発事故に伴う電力不足や停電時を補う蓄電池としても注目されている。

 アイサプライ・ジャパン主席アナリスト・大山聡氏によると、世界の二次電池(充電池、蓄電池など)の市場規模は、2010年で3兆895億円。このうちリチウムイオン電池の割合は34%に上る。
「二次電池市場は15年に5兆1183億円になると予想しており、リチウムイオン電池の割合は55%に、20年には7兆2983億円規模となり、このうちリチウムイオン電池の割合は66%の5兆円近い市場になるとみています。リチウムイオン電池市場でみると、4割は自動車向けになります」(大山氏)
 リチウムイオン電池のメーンはやはり自動車だ。世界の自動車販売台数は、10年が7200万台で、中国など新興市場で大幅に伸びている。EVやPHEVの本格的な普及はこれからだ。この先10年程度で、化石燃料を燃やして走る自動車が消えるわけではないが、リチウムイオン電池市場の将来は明るい。

 そこで気になるのは、この成長市場での日本企業の立ち位置である。
 リチウムを電池に使うという発想は、1960年代ごろに生まれ、80年代には製品化された。しかし、発火事故が頻発するなど製品としての完成度は低く、実用化にはほど遠かった。これを磨き上げたのが、日本企業の“技術力”だ。現在使われているリチウムイオン電池の源流をたどるとソニーに行き着く。その実用化は、91年である。
 以来、リチウムイオン電池は日本の家電メーカーの独壇場で、00年ごろには世界シェアが実に90%を超えていた。日本企業は、リチウムイオン電池の世界市場をほぼ独占し、栄華を極めていたのだ。
 しかし、このころをピークに日本勢はシェアを落としていく。サムスンSDIやLG化学など、韓国勢の追い上げが急ピッチで進んだからだ。現在のシェアは、日本勢が40%台前半、韓国勢は35%前後である。
 韓国勢の市場参入は99年。わずか10年あまりで、日本勢に肩を並べた。シェアトップの三洋電機と第2位との差は、わずか0.1%。直近では、サムスンSDIがトップになったという情報もある。

 日本勢のお家芸が「技術力」だとすると、韓国勢は「集中投資」だ。次代の成長分野だとみるや、毎年巨額の資金を投入して、優秀な技術者を集め、効率的な生産を行い、コスト競争力を身につける。そして一気に市場シェアを奪うという手法だ。
「技術や品質で日本企業が勝っているといわれたDRAM半導体や液晶パネルで、韓国勢にシェアを逆転されました。リチウムイオン電池でも同じ轍を踏むのではないかと懸念されています」(大山氏)
 成長市場で居場所をなくすようなみじめな姿は見たくない。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110803-00000001-president-bus_all