投資先はシリコンバレーにある新興の太陽光発電企業ソーラーシティ(SolarCity)で、両社は協力して太陽エネルギー普及の最大障壁である価格の“破壊”を目指す。ソーラーシティは、起業家イーロン・マスク氏が会長を務めている。同氏は、インターネット決済サービス「PayPal」の共同設立者で、電気自動車メーカー「テスラモーターズ」の会長兼CEO(最高経営責任者)でもある。
グーグルの広報担当パラグ・チョクシ氏は、「各家庭での太陽光発電普及を支援する画期的な事業になるだろう」と話す。
ソーラーシティによると、2億8000万ドルの投資額は、住宅用太陽光発電向けとしてはアメリカ史上最大。同社の資金調達額は、設立後5年間で総計12億8000万ドル(約1030億円)に達するという。
グーグルは過去数年にわたり、風力、太陽光、高温岩体地熱エネルギーなど、電力会社級の大規模な再生可能エネルギープロジェクトに投資を続けており、出資額の総計は6億8000万ドル(約550億円)を超えている。今回発表された契約は、同社にとって再生可能エネルギー分野への過去最大の取り組みであり、家庭単位の分散型エネルギー部門に対する初めての投資となる。
◆販売ではなくレンタル
グーグルが本拠を置くカリフォルニア州マウンテンビューから北に30キロ、シリコンバレー北部のサンマテオに本拠を置くソーラーシティは、自社を「太陽光発電サービスプロバイダー」と説明している。「人々は手ごろな価格であればクリーンなエネルギーを望んでいるが、屋根に設置する太陽光パネルを購入する金銭的余裕に乏しい場合が多い」というのが同社の事業コンセプトだ。
ソーラーシティをはじめとしてさまざまな企業が、太陽光発電システムの購入をユーザーに求めず、貸し出しによって価格問題を解消しようとしている。
住宅所有者や企業、学校などは、リースと電力購入の契約をソーラーシティと結ぶ。設置費用を月割りにした額などを含めても、通常の電力料金を削減することができる。
ソーラーシティはシステムのリースだけでなく、設計や設置、モニタリング、メンテナンスまで行う。さらに昨年、ビジネスソリューションズ(Business Solutions)という企業を買収、エネルギー効率診断のサービスも開始した。室内温度の制御ユニット設置など、小規模ながらもエネルギー使用量に大きな差をもたらすリフォーム策を幅広く推進している。
ソーラーシティのCEOを務めるリンドン・リーブ氏は、「現在までに1万5000件の自社プロジェクトを進めているが、その大半は銀行からの融資に依存していた」と語る。「しかし、太陽光発電に関心を持つ銀行は多くない。グーグルの動きが良い前例となり、ほかの企業も同様の投資を続けてくれることを期待する」。
グーグルの広報担当チョクシ氏は、「今回の契約は良心的な投資という側面もあるが、それ以上にビジネスとしての重要性が大きい」と述べる。見返りを本気で期待しており、投資の分散として有効な手段だと考えているという。「当社のさまざまなサービスは膨大な電力を消費する。最終目標は、すべてクリーンエネルギーで賄う態勢作りだ」。
ソーラーシティはこれから半年の間にさらに資金調達を進める予定で、グーグルの投資と合わせて今後2年間の事業に必要な額をそろえるという。
◆電力会社との価格競争
ソーラーシティのリーブ氏は、「資金調達の次に大きなハードルは、人々の誤解だ。“太陽光発電は高い”という考えはいまだに根強い」と話す。
「弊社のシステムは、太陽光発電への切り替え時に費用がかからない。しかも翌月から電気料金を節約できる」。当面の間、ソーラーシティはアメリカ国内市場での普及に焦点を当てている。グーグルの投資により、サービスを提供する州が1つ増え、事業展開は計11州になるという。「弊社のビジネスモデルは、ドイツやイタリア、日本、南アフリカ、フランスなど、電気料金が高い国であれば世界中で適用可能だ」。
Josie Garthwaite for National Geographic News
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110615-00000004-natiogeo-int