ファナックは、工作機械用の数値制御(NC)装置や産業用ロボットなどの世界トップ企業だ。アジアにおける設備投資需要の急拡大により、同社の業績は絶好調。昨年度の売上高は4462億円、営業利益は1898億円で利益率は43%。自己資本比率はじつに87.9%に上る。富士通のNC部門を分離独立してできたファナックだが、時価総額はすでに富士通の3倍以上である。
この成長を率いたのが、稲葉清右衛門・名誉会長だ。86歳と高齢ながら、今もカリスマとして君臨する。マスコミ取材はほとんど受けず、そのメッセージが伝わる機会は少ない。「東洋では皇帝の色」といわれる黄色を好み、富士山麓には黄色い工場群が立ち並ぶ。
今年4月、ファナックは通期決算のアナリスト説明会も中止した。「震災後のこんな時期なので、なるべく簡素にしたい」(同社)というのが中止の理由だが、「今後も説明会を継続するかどうかは未定」と、好業績を背景に強気姿勢だ。
こうした株主対応に対して東証は「(東証の適時開示情報伝達システムである)TDnetで適時開示をしている限り、規定上の問題はない」と言う。だが、はたして上場企業としてふさわしい対応なのかどうか。今後、社内外からの不満が高まる可能性もある。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)
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