私にとって、ピアノは精神的な拠り所であり、またピアノ講師という職業でもあるわけですから、今現在生きる上でなくてはならないものです。
ピアノを弾くこと、指導すること等、ピアノに関することの優先順位はきわめて高く、勢いあまって生徒さんや親御さんに対してもそうあってほしいとどこか期待してしまいます。
もちろん、そう思うのは価値観の押し付けであり、そう思うべきではないと重々理解しています。
多くの子供達にとって、ピアノは習い事のひとつにすぎず、優先順位は高くありません。
時期がくれば部活や塾の勉強などに、あたかもそうすることが自然のように重きを置いていき、ピアノの優先順位は低くなっていきます。
一時期は親子二人三脚で頑張っていたピアノを、導入期を終えるか終えないうちにやめてしまうこともあります。
それでは、ピアノを習ったことが無駄にはならないだろうけれど、ただただ勿体無いな、と思ってしまいます。
本音は、もっと欲を持って努力してほしいんです。
「人に誇れる特技にしたい」
「人より努力して、1番になりたい」
みたいな負けん気、ピアノではなかなか持てないのかな…
それとも、ピアノでそう思わないだけで、他のことで頑張っているのかな…
人より頭ひとつ抜きん出た特技を持ちたいと思ってくれたら…生徒さんがそんな負けん気を見せてくれたら…とても嬉しいです。
「子供の頃少しピアノを習っていた」
という方は本当に多くいらっしゃいますが、子供の頃の体験や思い出で終わらせてほしくありません。
＊
当教室の生徒さんの約半数は、小学校高学年以上です。
中学受験や中学進学、高校受験を機に退会される生徒さんは、それも正しい選択です。選んだ道が正しい道と信じて頑張られることを願っています。
受験勉強や部活とピアノを両立させている生徒さんが習い続けてくれているのは、生徒さんにとってピアノが少なからず特別な存在になっていることの証だと思います。
長年やっていると、いつの間にか良い意味でそんなふうになるんですよね。
受験勉強や部活の息抜きや気分転換にピアノを弾いて楽しんでくれているのかな、だといいな。
いつのまにか、ピアノが「趣味」になったんだね。
ピアノを「習い事」から、大切な「趣味」に育てられたのなら、ひとまず指導はうまくいったのかな、と思うようにしています。
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