先週は「ゲッツー」という言葉に私なりの考えを書いたのだが、実はまだ他にも野球中継で使われていて違和感を感じる言葉がある。

それは「セオリー」である。

「セオリー」とは、理論・学説・理屈・空論・持論・仮説という意味で 決して「基本」という意味ではない。アナウンサーがしばしば「ここは、セオリー通り、バントです」という言葉を発しているが一体 誰の理論や理屈なのか、と思ってしまう。

「基本」は 「ベイシック」または「ベース」と言い、ニュースなどで、サラリーマンの方の給料を上げる交渉に「ベース・アップ(基本給)」という言葉を耳にするがあれは和製英語だそうだ。

囲碁や将棋には 「定石」、「定跡」という言葉があり、これが、基本という意味に近い。「定石通り、バントです」と言えば 何の問題もない。まっ、細かく言えば、囲碁が「定石」で、将棋が「定跡」なのだが………。

野球中継だけではなく、他のスポーツ中継を見ていても「セオリー」を基本という意味だと勘違いしている人が多くいるようだ。かく言う私も、何気なく使っている言葉の中に誤用はないかと、心配になることがある。先入観や固定観念に囚われていたら、なかなか、気付かないことである。

そうした何げない勘違いは世の中にあふれている。
たとえば草野球や少年野球を見ていると内野手などの送球エラーが起こると「暴投するな!!」と大きな声で注意している指導者を見るが「暴投」は「ワイルド・ピッチ」である。つまり、「暴投」は投手にしか起こらないものなのだ。野手の送球エラーはあくまで「悪送球」である。

「バンド」と言う人がいる。バンドは腰に巻くベルトや楽曲を演奏する人達のことであって、野球のものは正確には「バント」である。

固有名詞の勘違いは更に多い。私も思わず福留を「ふくとめ」と発音してしまう。岩崎を「いわさき」と、赤星を「あかぼし」と発してしまう。それぞれ、「ふくどめ」「いわざき」「あかほし」が正解だが、これらは なかなか 治らない。

何度も 担当アナウンサーに注意を受けるのだが ニワトリと一緒で すぐに 同じ間違いをしてしまう。まだまだ、気づいていない誤用があるのだろう。「人のふり見て我がふり直せ」という言葉があるが 私も このことわざ通り、正確な表現ができるように努力していきたい。

もし、私のブログ読者の方でお気付きの方がいらっしゃいましたら ドシドシ ご指摘下さい。


さて、今週のタイガースだが ヤクルト戦では 投手陣が打たれ過ぎた。特に、中継ぎ・抑えといったリリーフ陣が打ち込まれてしまったという印象が拭えない。その象徴がマテオだろう。

5試合連続で失点していて開幕当初のスライダーのキレがない。3月最後の神宮球場で3イニングを投げて以来、キレが戻っていないようにも思える。

開幕当初のマテオのスライダーは スライダーというよりカット・ボールだったと思う。それも 相当 レベルの高いカット・ボールだ。ヤンキースのクローザーだったマリアノ・リ ベラを彷彿させるカット・ボールだった。

それが いつしか、普通のスライダーになり、そしてやがて「ズライダー」になってしまった。(ズライダーとは ぜんぜん 曲がらないスライダーの事)

開幕カードでドラゴンズの選手達が目を白黒させた変化球が こんな短期間でズライダーになってしまうとは 誰も 予想できなかったと思う。

4月28日に右肩痛で登録を抹消されたが ケガや疲労が原因なら 1日でも早く 肩を治し、リフレッシュして またあの「おばけスライダー」を見せて欲しい。元気な姿で戻ってきてくれる事を心から願っている。

そのヤクルト戦では 色々な問題が出たが それらを一掃できたのが次のジャイアンツ戦だ。仮に、ヤクルト戦の次のカードが 絶好調のDeNA戦だったら タイガースは悲惨なチーム状態になっていたかもしれない。ここは元気のないジャイアンツで本当に良かった。チームが生き返った感がある。

27日 ジャイアンツ戦の初回、坂本の悪送球が吉兆の始まりだ。菅野に黒星をつけ、岩貞が完封。翌日も岩崎の好投と原口の素晴らしいバッティング、と ヤクルト戦の嫌な雰囲気を一掃したタイガースの快勝だった。

中でも特筆すべきは原口のホームランだ。28日、9回表、宮國の初球のストレートをレフトスタンドに放り込んだ。ややインコース寄りの高めの甘いストレートとは言え、見事なホームランだった。「非凡」というか、「人並み外れた」というか、とてつもない「打てる捕手」の誕生を見た。彼が打席に入るとワクワクする。これからも 原口らしく活躍して欲しい。

ジャイアンツ戦が終わるといよいよ交流戦なのだが その最初のカードが これまた チーム状態が上がらないイーグルスという事で これも また ラッキーな事である。交流戦の初戦がホークスとかマリーンズではなく 気楽に入っていける。

もちろん、油断は禁物だが パリーグの6チームを考えたら、イーグルスから戦うのは タイガースにとっては好都合だろう。このイーグルス戦で大きく勝ち越し、良い流れや勢いをつけて欲しいと思っている。来週からの交流戦、楽しみにしている。


さて私は 29日からアメリカに行きます。ニューヨークでとある番組の収録です。日曜日は飛行機移動の都合で試合は見れていません。ですから、28日までのタイガースの試合を見たブログなので 29日に とてつもない事が起こっていたのなら 取り上げる事ができず すみませんです。

またこのような事情で、6月6日のブログは 休ませていただきます。また、6月13日にお会いしましょう。